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その後、深夜の大声で近所から通報された男は猫が怖いと呟きながら警察官に泣きついたという。
交番に被害届を出していた途中の女性も、警察官に深夜の外出等の注意事項を受けながら鞄が戻ってきたことを喜んでいた。
その姿を屋根の上から見つめ、そのまま空き地に戻ると猫達はうーんと伸びをした。
「しかし驚いたのです」
「ユキがあれ程、運動神経がいいとは思いませんでした」
ルーナとメルはうんうんと頷きながら、ユキを意外そうに見ている。
「そりゃそうさ」
タマがふふっと笑いながらユキの左前脚をぽんっと叩いた。
「ユキは元ボスだよ。ノワールの前のね」
「よしてくれる。歳がばれてしまうでしょ」
心底嫌そうにタマの前脚を払いのけると、ユキはふんっとそっぽを向いた。
暫し、固まる猫達…。
ノワールだけはくっくっと堪えきれない笑い声をあげている。
「えー!?ユキってそうなの!」
「あれ?リョータに話してなかったの?」
「話すわけないでしょ!元ボスの最年長が子供じみた喧嘩をしているなんてみっともないわ!」
「それを言われると最年長組として同じ理由になるんだけどなー」
タマが面白そうに笑う。
その姿を年少組の猫達はポカンと見つめていた。
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