12

月明りが薄れ、夜明けが近づいてくる。


黒から紫、紫から薄紫へとグラデーションされていく空を見上げながら、猫達は静かに解散を告げた。


「それでは、又、今日の素敵な夜に」


すっかり気品ある表情に戻ったノワールの一言で、猫達は各々の家へと向かう。


「美代ちゃん、今日は遠足なんだって」


だから今日は早起きらしいから早く戻らないと。


タマの言葉にそうですかとモッチーは優しく頷いた。


「今日はクルミちゃんの四歳の誕生日なの。平和な日でよかったわ」


「てか、実際、いくつなんですか」


リョータに猫パンチが炸裂したのは言うまでもない。


「ユキが元ボスとは」


「意外なのです」


「更に言えばタマは更にその前のボスらしいですよ」


チャッピーの言葉に更に固まる双子猫。


「ルーナ、メル。これだけは覚えておくといい」


最年少二匹にノワールが優しく諭すような声を出した。


「この先、どれだけボスが変わろうとあの二匹だけは変わらぬということを」


「えっ?」


チャッピーがふふっと笑いながら二匹に頬ずりをした。


「猫の世界にも色々あるんですよ」


ほんの一握りの高みがね。


きょとんと首を傾げる二匹に早くと言いながら、チャッピーはノワールの後を追い掛けていった。

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