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暫し、茫然と地面に転がっていた男だったがふつふつと怒りが沸いてきたらしい。
大声を出してはいけない立場ということも忘れ、二匹の猫を盛大に睨みつけた。
「こっのくそ猫が!!」
深夜の反響音はすごくよく響く。
そのことすら気付かない程、男は怒り狂っていた。
感情任せに猫を捕らえようと走り出す。
二匹の猫達は一瞬、顔を見合わせたかと思うと、そのまま二手に分かれ塀に飛び乗った。
「待ちやがれ!」
恐らくボスであろう猫を捕らえようと、男は黒猫のいる右側の塀に手を伸ばした。
その瞬間、街灯の灯りを背に灰色の二匹の猫が男が伸ばしていた手と頭目掛けて同じタイミングで降ってきた。
同じタイミング、同じ重さの灰色の猫がふふんと得意げに男を蹴り飛ばして地面に着地する。
まるでバレエを見ているかのようだ。
後ろに倒れこんだ男はその優雅さに意識がいくはずもなく、怒りの対象を黒猫から灰色猫へと変えた。
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