5
にゃー
にゃー
一丁目のとある場所で響く猫の鳴き声。
そこにいたのは会議中に早くしてくれオーラを出していた双子の灰色猫、ルーナとメルだった。
―数分前―
「しかし、本当にユキとタマには困ったものね」
「全くです。いつものこととはいえいい加減飽きたのです」
のんびりと散歩感覚でパトロールをしながら、二匹の愚痴は途切れることなく続いていく。
「年長者組とはいえ、ああやって自由に動かれると年少組のこちらが困るというのに」
「全くです。本当に迷惑なのです」
どっちがどう喋っているのかは全く分からないが、不満がたくさんあるのだけは分かる。
愚痴が続いている中、どこからかドンっと何かがぶつかる音が二匹の耳にはっきりと聞こえた。
その瞬間。
「返して!」
女性の声が小さく聞こえた。
それと同時にどたどたと走り慣れていないような人間の足音が二匹向かって近づいてくる。
ルーナとメルはすぐさま、状況確認の為に塀の上からどこかの家の屋根の上へと飛び移った。
そのままショートカットの如く、ひらりとルーナが女性の声がした方へと向かっていく。
メルは近づいてくる足音を聞き逃さないように耳を立て、相手を確認するべく音に合わせて屋根の上を歩いていく。
息のあった行動は双子と言うべきか。
程なくして、ルーナが鳴き声をあげた。
「ひったくりよー!」
「犯人を確認!」
程なくしてメルが鳴き声をあげると二匹は塀の上へと飛び移った。
そのまま塀の上を風の如く走り、どたどたと足音をたてながら走る犯人の後ろを追いかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます