4
ノワールと黒ぶちのチャッピーは無言のまま月の下を歩いていた。
歩いているだけでノワールの凛とした空気が漂っているような錯覚に陥ってしまう。
普通の猫ならば空気に当てられて小さくなるところだが、チャッピーは鈍感なのか肝が据わっているのか平然とノワールの後ろをついていく。
「…ユキとタマの気持ちが分かる分、選ぶのはつらいものだ」
「そうですねー」
ぽつりとノワールが呟いた言葉に返事をするチャッピー。
再び訪れる沈黙を二匹は居心地が悪いとは思わない。
この距離感こそがお互いに信頼し、任せている証だと以前にノワールが他の猫達に言っているのをチャッピーは知っているのだ。
「優しい貴方だからこそ、皆の先頭に立っていられるのですよ」
月の光を浴びる気高きノワールにそう言葉をかけると、チャッピーは優しい目線を送った。
その時だった。
にゃーっとどこからか危険を知らせる泣き声が二匹の耳に届いた。
かっと目を見開き瞳孔を細くするノワールに合わせるかのようにチャッピーの瞳孔も細くなる。
「向かうぞ」
「はい」
力強く塀の上を駆け出していく二匹の姿はあっというまに暗闇へと消えていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます