第61 シスター

 地下道を通って自分たちは協会の真下らしい所にきた。ちょっとだけ広くなって四・五人が両手を広げれる様な空間の中心に結構ボロボロのハシゴが上に続いてた。自分たちはハシゴの続く先を見てどうするか迷ってた。

 

「これって思ったんだが……塞がれてるじゃないか?」


 上を見て自分はそういうよ。だって避難して既に何日か経ってたとしたら、そしてこの状況が続いてたとしたら……出入り口を塞いでしまってもおかしくなくないだろうか? だって外には死者が溢れてるんだ。もうここに立てこもるしかないとしたら……扉とか、全部板で打ち付けててもおかしくない。

 

「とりあえず確かめてみるぞ」

「気を付けろよ」


 何か罠があるかもしれないしな。協会だし、聖水でもぶっ掛ける様な仕掛けでも……まあ、何も見えないんだけど。でも魔法を使える者が居るなら、少量の聖水くらいなら、隠せるだろうしね。ハシゴを登ってくドラゴ。カンカン――という音が虚しく響いてる。そして頭上の扉に手を伸ばした時、結構大量の水がドラゴに降り注いだ。

 

「少量じゃない」


 確かにその通りだな。自分たちもそれなりに濡れる程の水だった。けど聖水だったお陰で、この町に蔓延してる紫の瘴気が払われたんじゃないか?  結果で守られてたといっても影響が完全になかったわけじゃない。でもこれだけの聖水をかぶれば、ドラゴに溜まってた瘴気は消えた筈。

 

「まあ、今更だな。ちっやっぱり開かないか」


 ドラゴは扉を押すが開かないようだった。もう外から生者が来る事はないって事で塞いでるんだう。なら、中の人達にこちらが生者であると伝えれば開けてくれるんじゃなかろうか?

 

「おい! 俺達は生きてる! だからここを開けてくれ!」


 ドンドン! と強く扉を叩きながら、ドラゴはそう叫ぶ。

 

「もし……」


 か細いそんな声が聞こえた。誰か来てくれた。

 

「貴方は本当に生者なのですか? 本当に?」


 どうやら相当信じれないようだ。けどそれもしょうがない。だって本当に外は死者で溢れてるからね。

 

「死者がどうやって会話するんだよ? それに聖水の罠仕掛けてたろ? アレを被って俺は無事だぞ」

「…………お待ち下さい」


 納得したのか、何やらズズズと重いものを動かす様な音が聞こえてくる。そしてガシャンという音共にキイイイと嫌な音が響いてロウソクに照らされた彼女がドラゴに手を伸ばした。

 

「これも神のご加護でしょうか?。まさか外から人がいらっしゃるなんて……」

「俺達は強いからな」


 自信満々でそういうドラゴ。やめろよな……自分とか弱っちいんだそ。けどそんな歓迎ムードもつかの間だった。ドラゴを引っ張り上げた後、自分たちの方を見て彼女は口を抑えていった。

 

「魔物!?」

「なんだと? 確かにありゃあ魔物じゃねーか! どういうことだ!」


 先に昇ったドラゴが武器を突き立てられてる。必死に説明してるようだけど、シスターの様な格好した彼女は開いて扉を締める。

 

「まっ!!」


 待ってくれ! といおうとしたんだけど、にべもなかった。迂闊だった。だってこんな状況だ。いつも以上に警戒してて当たり前……祈るしか無いな。ドラゴがあの人達を説得することを。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る