第7話 戦い2

 スーパーゴブリンの猛攻は凄まじかった。一瞬でも気を抜けばやられる−−それが肌で分かる。重くて早い一撃。自分は防戦一方。反撃に転じる余裕なんて皆無だった。けどそれは自分だからであってドラゴはそうではないようだ。

 あいつはなんとかちょくちょく攻撃を試みてる。やっぱり剣の腕ではあいつには勝てない。剛っぽいけど、案外柔軟に対応してるドラゴ。本当、その剣の才能羨ましくなるよ。学校ではあいつと並んでトップを争い続けてたもんな。

 そして自分はというと……まあ成績がすべてではない。うん、ないったらない。

 

 そんなこんなで紙一重の攻防を繰り広げてると、認識外からデンドさんが突っ込んできて自分たちとスーパーゴブリンの距離を開ける。そしてすぐさま彼もゴブリンから離れると、魔法陣がゴブリンの体を覆い動きを阻害する。

 あれは確か、バインド系統の魔法。対象の動きを阻害してその場に拘束する次の一手とする魔法だ。て事は……自分はメルルの方を見る。するとその大きな丸メガネを光らせて呪文を唱えてるメルルの姿が目に入った。

 メルルの周りには淡い光が舞ってる。あれはあいつ固有の現象だ。まあかなりの大魔法ならああなるらしいけど、普通の魔法でああなるのは稀なんだとか。それだけメルルは魔法素子達に愛されてるんだとか。魔法の才能のない自分にもすこしは分けて欲しいくらい。文句言ってもしょうがないけどな。

 

 メルルが杖を向ける。それと同時にスーパーゴブリンに氷がまとわりつく。それが一気に膨らんで3メートル近い体を完全に覆った。これでは指一本動かせないだろう。だけどどうやらこれで終わりではない様子。

 さらに何やら唱えてメルルは杖で地面を叩く。すると火花が進んでいって氷の内部に侵入する。そして内部から爆発した。思わず怯む自分たち。当然、中身は木っ端微塵。

 

「えげつないな……」


 そんなことを言うドラゴ。まあ気持ちは分かる。そして言われたメルルは「ごめんなさい」と何度も小声でいってる。魔法は自信満々なのにそれ以外は低姿勢すぎるよなメルルは。

 ふと飛んできたスーパーゴブリンの欠片を見ると一際輝く赤いのを見つけた。

 

「これは……」


 手にとってみると、これが他のゴブリンにもあった例の鉱石みたいなのだと確認する。けど大きさが全然違う。これは手のひらサイズはある。これは一体なんなのか……わからないけど、いいものではない気はする。

 

「やったな」


 そう言って仲間内で勝利の喜びを分かち合ってたデンドさんがこっちにも来た。とりあえず手を叩き合って恥ずかしながらも同調する。一息をついて、昼休憩に入る。固いパンをかじって水を流し込む。

 そして再び森をめぐってると、来てると聞いてた騎士団を発見した。それもゴブリン達と共にだ。

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