第6話 戦い1

「あれはホブゴブリンか?」

「だがあんなでかくはないぞ?」

「キングゴブリンでしょうか?」


 そう話し合う冒険者の皆さん。けど結論が出る前に目の前のゴブリンらしき魔物が動き出す。再び爆発音かと思うほどの音ともに姿を見失う。そして次の瞬間、シンさんが飛んで行って木の幹に叩きつけられた。

 

「「シン!!」」


 メドさんとスーメランさんが倒れ伏したシンさんに近づいて回復魔法を唱える。デンドさんは自分からあのスーパーゴブリンに近づいて攻防を繰り広げてる。さすがはデンドさんだ。あのゴブリンの攻撃を裁けるなんて……それだけで感動ものだ。

 

「こんのクソがあああああああ!!」


 渾身の一撃。どうやらあのゴブリンは大振りしかしないようだから隙をついてそれを叩き込む。完全に入った。今までの感じだと一刀両断コース……たと思った。けどそのゴブリンの肌にデンドさんの大剣が阻まれてる。皮さえ切れてない。


「ガ?」


 何かやったか? 的なそんな感じの声。そして次の動きを察知して自分とドラゴは動き出す。このスーパーゴブリンは武器は持ってないけど、その拳だけで肉塊にされる。デンドさんに避ける余裕はない。

 自分は横からデンドさんの体を突き飛ばし、迫る拳を自身の盾でそらす。その影から飛び出てドラゴがその剣をゴブリンの足を狙う。奴の脅威はそのスピードでもある。ならそれを殺すのは明白。

 ドラゴはデンドさんの剣が阻まれたのを見てる。だからだろう、ドラゴは突きを選んでる。一点突破の一点集中。その選択は正しいと思う。盾の一部が壊れてデンドさんとともに転がる自分はその攻撃が通じることを願ってた。

 

「うおらああああ!!」


 そんな声で気合いを込めるドラゴ。あいつの剣は特別製だ。経験とか技術はデンドさんだろうけど、剣自体はドラゴの方が良い物だと言える。それに力自体はドラゴも相当だ。その力を余すことなく伝えることが出来る突きなら−−

 

「があああああああああああああああ!!!」


 響く断末魔の叫び。確実にドラゴの剣は奴に突き刺さった。それで希望が見える。ダメージが通る。それなら殺すことだってできる。ドラゴは次の攻撃をかわして剣を抜き距離をとる。

 脚から滴る緑色の血。これで僅かでもスビードは落ちるだろう。けど今の様子じゃ、剣では致命傷にはならないかもしれない。ドラゴが頭を潰せばあるいは……だけど頭とかはガードが固い。ここは魔法組に期待するほうがいいかもしれない。

 

「デンドさん、うちのメルルも使ってください。あいつ結構な腕の魔術師なんで。自分とドラゴで時間稼ぐんで、魔法組に指示を」

「大丈夫なのか?」


 心配そうにそう聞いてくるデンドさん。そう思うのも仕方ない。だって今の一撃を防ぐので自分にはいっぱいいっぱいだった。けど、これくらいしかできることはない。デンドさんは作戦が固まってから動いてもらったほうがいい。

 こういう損な役回りが自分の役どころ。自分の一番の見せ場は魔王と対面した時だけ……それまではこんなもの。

 

「はあー……ふう……」


 自分は覚悟を決めてスーパーなゴブリンを見据える。

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