第4話 クエスト

「あのーすみません」

「はい、何でしょうか? 冒険者になりたい方ですか?」


 いい笑顔でそう言ってくれるのは受付カウンターのお姉さん。質素だけで可憐で中々にかわいい人だ。多分このギルドでは人気があるんだろうことがわかる。さっきから観察してたけど、明らかにこの人のところに来る冒険者が多かった。

 男とはなんと分かりやすい生き物かと思えた。けど実際自分も彼女の前に来てるんだからおなじ男なのだ。

 

「いえ、ちょっと依頼をしたいなと思いまして」

「はあ、依頼ですか?」


 なんだかキョトンとしたその顔が可愛くて既に満足なんだけと、ちょっと反応がおかしいな? もっと手際よくやってくれるのかと思ってたけど、やり方が違うのかもしれない。でも冒険者ギルドなんて初めてで勝手がわからないのだ。

 それはドラゴもメルルも一緒。なのでとりあえず受付に聞くかってなったわけ。

 

「ダメですか?」

「いえ、そういうことではなくて、依頼の提示は別のカウンターなんです。ここは冒険者方の依頼の案内や報酬の受付なので。それでしたら二階の方におあがりください」


 そう言われて自分は二階に上がっていく。二階は落ち着いてて下のような騒ぎはない。とりあえず近くのカウンターに行く。


「依頼を出したいと?」

「はい……」


 自分は淡々と依頼内容を説明する。だってねえ……テンションが上がんない。だって目の前にいるのは老婆である。てか二階は全体的に年齢が高い。なので早く用件を済ませようとしてるわけだ。

 

「ゴブリン退治の手伝いね。相場は最低三千ネルくらいだね。だけどそれは最低で出来高で変わってくるよ。そこらへんは受けてくれた冒険者と要相談になるけどいいかい?」

「最低でも三千ですか……」


 うーんどうだろう? 多分厄介なことになりそうだし、万越えは視野に入れないといけなくなりそうな気がする。けどそれは結構厳しい。旅費はもらってる。でもそう贅沢できる額じゃない。

 こんな序盤で万の出費は痛い。けど、厄介なことになることはわかってるから下手に弱い冒険者に頼むこともできない。厄介なところだな。でも他に方法もない。

 

「……お願いします」


 

 と、いうわけで我らの依頼が依頼ボードに張り出された。あとはギルドの端で待ってるだけ。けどどうやら数時間待ったけど、誰も依頼を取ろうとしない。見てはいるみたいだけど、どうやら美味い依頼ではないようだ。

 やっぱり待ってるだけじゃどうにもならないな。てな訳で周りの冒険者に話かけに行く。それでなんとなく自然な流れでゴブリン討伐の話をする。それてわかったのはどうやら冒険者にはゴブリンはそれほど美味い獲物ではないということ。

 ゴブリンを討伐できるようになったら一人前らしいけど、そう頻繁に狩りたい獲物ではない。普通のモンスターは知性なんてない。でもゴブリンは僅かながらそれがある。仲間を集い道具を使う。魔法もある程度使う。だから厄介らしい。

 どの程度いるかもわからないゴブリンを狩りに行くのはリスクがある−−というのが冒険者の見解だ。

 

「なるほど……」

「まあ俺たちはそんな腑抜けじゃないけどな。がはははは!」


 そうやって大笑いをするのは精悍な男。明らかに他の冒険者とは雰囲気が違うその男は今のところいい手応え。この人のパーティーに協力して欲しいところだ。多分中堅所といったところだからなかなか安心できそう。

 

「いやー流石ダンナ! 見るからに強そうですもんね!」

「そうだろう。そうだろう! もっと褒めていいぞ!」


 取り入るのはなかなか上手いと自負してる自分である。騙すとか人を使うとか、そこらへんはわからないけど、他人にはよく気に入られるのである。

 

「何か訳ありなんだろう? 騎士がなんかやっとるという噂もあるしな。あいつらはあまり好かん! 奴らにギャフンと言わせれるのなら手伝ってやってもいい」


 いい笑顔でそういう男。けど他のパーティーメンバーはあんまり乗り気ではないようだ。まあ話の流れで格安での約束も取り付けてたからね。でもこのパーティーの決定権はこの男にあるようで、最終的には納得してくれた。

 てな訳で、僕たちはドラゴたちと合流して準備を進める。今から行くと夜になってしまうから翌日に街の出口に集まることにした。夜では何かが起きやすいからな。想定外の何かが……

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