第2話 領主

 サングリアについた。まあここら辺は公道とか整備されてるし、国の騎士たちが定期的に巡回してるしで危険なモンスターも少ない。だから気負う必要なんて一切なかった。町に入っても誰も自分たちが勇者御一行だと気付くものはいない。

 そこらの冒険者と一緒だと思われてるんだろう。冒険者とはモンスターを倒して生計を立ててる者達のこと。彼らは自身の身を鍛えてモンスターを狩りいきてる。なかなかに野性味あふれる人たちだ。

 けどその行動や生き方はとても自由で、憧れる者がある。勇者なんて役目がなければ、きっと冒険者になっていたであろう。それでもきっと鳴かず飛ばずだったろうけど。

 

 冒険者の全部が毎日不自由なく暮らしてるわけじゃない。余裕を持って生きていけてる人たちは寧ろ少数。大多数の人たちは毎日がいっぱいいっぱいらしい。それでも……憧れる。

 

「取り敢えず領主の家に行くんだっけか?」

「おう、一応挨拶しといた方がいいらしいし、この先の検問通るための許可取らないとだしな」


 ドラゴの言葉にそう返す。勇者なんだから普通は顔パス……のはずなんだけど、どうやらこんな勇者は世間に発表できないらしい。だからちゃんとお目通しをして許可証をもらわないといけない。

 まあそうそう簡単に取れるものでもないんだけど、流石に上流階級の方は知ってるので問題ない。てな訳で領主の屋敷へとやってきた。城とは比べるべくもないけど、周りの家とは一線を画す大きさ。さすがは王都に近い領土の領主。要は大領主ってやつだ。

 中に入ると高そうなものが上品に飾ってあった。そして執事やメイドがたくさん。贅の限りを尽くしてるってわけじゃないけど、その気品さはうなるものがある。そして一際大きな扉の向こうで、領主の方がいた。

 

「初めまして自分が今代の勇者『ルドラ・アーカイム』です。魔王討伐の為自由通行証を受け取りにまいりました」

「これはこれはご丁寧に。用件はお聞きにしております。通行証は問題ありません。しかし勇者さまに一つお願いが」


 領主の人はそう言って最近、ゴプリンの一団が近くの森て繁殖してると言ってきた。まあつまりはそれを討伐してほしいということだ。そんなの冒険者に依頼すればいいんだけど……どうやら、この人もそういう密命を受けてるんだろう。

 それにそれをやらないと通行証くれないらしいし、やるしかない。こんな王都の近くにゴブリンなんておかしいけど、全部をはねのけて魔王の元まで行くのも勇者の証、やってやろうではないか。

 

「わかりました。勇者として見事ゴブリンを退治してみせましょう」


 そう言って僕たちはゴブリン退治をすることになった。

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