作中に出てくる映像が、ボブディランの名曲「風に吹かれて」をBGMにして流れてくるようでした。会話はなく、主人公の胸中を綴った物語ですが、まるで中学校の時の淡く切ない思い出が、筆舌に尽くし難い深い余韻となって読者の心に植え付けていくようです。短いながらも素晴らしい作品だと思いました。
一人の人間の思い出を振り返る内容です。ただ記憶を辿るだけでなく、自分の頭に残る風景を自らの足で辿り、過去の自分と照らし合わせながら思いに更ける所がより心情を明確に現れていたな~と感じました。そして、一人の女の子を思い出し、彼は何を想ったのか……。淡く、そして切ない思い出をどうかご堪能あれ。
愛媛の思い出の地をボブ・ディランの名曲にのせて、切なく振り返ります。いつかの君と僕。消えない後悔の思いと淡い期待が、胸を離れません。少年のままの君へ。もし、信じられるなら、過去は変えることが出来るよ。未来は君のもの。後ろばかり振り向かないで、今を輝かせることが出来たなら。過去はいつだって、優しく変化するのに。