なくしごと

 二日前、私は結婚指輪をなくしてしまった。化粧台、台所、子供部屋。ゴミ箱に至るまで隅々探したけど見つからなかった。

 もしかしたら、チワワのロイがモノを咥えては隠すいつもの場所かと探したけど見つからなかった。

 このことが夫にバレないようにとなるべく指を見せないように務めた。


 指輪をなくして五日経った頃、その日は土曜日だった。休日の朝もあり、子供はまだ寝ているだろうが休日など関係なく夫は仕事に勤しむ。

 ドアを開けて夫は何も言わずにイスに座る。私は指を皿の下に隠しながら、置く。

 ほぼ同時に夫は何食わぬ顔で手を置き、上げた。

 そこには指輪が置かれていた。


 ロイの散歩の際、綱が指輪に擦れて指輪が傷つくことを嫌う私はいつも指輪を外すことを知っていたという。

 夫は私の何気ない行動を分かっていてくれたことに嬉しかった。


 二人の大切なものの証が指輪これなのだ。

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