神が造ってしまったモノ
同一の時間に存在しながら、違う場所にいる。
皆凶器を持って生まれてきた。凶器の重みはそのまま命の重みへと還元される。
時間を共有しながらも質は大きく異なる。
ゲームに徒労するもの。勉学に励み己を研鑽するもの。仲間や家族と語らい質を深めるもの。
言葉は凶器である。無意識に放つ機関銃。
嫌悪や憎悪を乗せた負の言葉がすぐに浮かぶかもしれない。
パフェを食べようと言われて、食べることが頭に浮かぶ人もいれば、元彼との最後のデートを思い浮かべる人もいる。後者には痛烈な感情が沸き起こる。
いつまでもそれに引きずられていては生きていくことが困難になるため人は忘れようとする。
言葉は治癒力も有れば暴力も有するもの。
でこぼことした長方形の塊から伸びる先が五本に曲がった木の枝のようなもの。
これらは握りあうこともできれば抱きしめることもできる。
だが、それを鞭のように振るえばたたくことができる。五本の枝を握れば殴ることだってできる。
神はそれに知能を与えた。それはこれを自分のモノだと勘違いした。モノ以外のものもみな与えられたというのに。
モノは自らを上位と決めつけ、ものを下位と決めつけた。
神が造りたもうたモノはなにもかも他を排除することのできる凶器であり、何もかも守ることのできる名器だ。
悲しきかな名器は、楽なことばかりを求めてしまった。
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