彼ら

 昼下がりの校庭。昼休みになると彼らはいつもやってくる。

 おいしそうな食料を持って、僕にはそれの名前がわからない。でも、彼らがとてもおいしそうに口を開けて頬張る。

 口内で咀嚼して、喉に通す。僕の口は硬い固形物と一体になっているせいでモノを通すことができない。本当に不便だ。

 彼らは持ってくるモノは違えど、食べ終わる時間は大体同じだった。次のチャイムが鳴るまでのしばらくの間談笑しては、慌てて校舎へと駆けていく。

 彼らの姿を見るのはこれで二年ほどになる。

 僕はずっとここにいるのに、彼らは気づくといなくなっては新しいがやってくる。

 僕に目をくれることもせずに、彼らは去っていく。

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