第63話 ノノルル


 夜になり指定の宿酒場で合流することができた。


「初めましての人もいるね。ノノだよ、よろしく」

「…ルルだ。よろしく…」

 ノノは見た目からも明るい人って印象。

 ルルは対称的に内気で暗い感じ。


「久しぶり~ノノルル」

 と、リコが笑顔で返す。

「初めまして、ハナと申します」

 アタシだけが初対面かな?と挨拶した。


「あなたがハナ…、よろしくね!」

 少し意味深な返事のノノさん。

 今回の攻略について、アタシ絡みで説明を受けているからかな?


「いい瞳…、リコ、力貸すよ、この子なら大丈夫」

 片言だけど、ルルさんはアタシを何やら認めてくれたみたい。


「ありがと!ルル、頼りにしてる!」


 ノノはローグ(追跡者)

 ルルはアサシン(暗殺者)

 という、まさに隠密のプロフェッショナルコンビ。


 この二人の案内で古城の裏から侵入して、なるべく安全なルートで地下墓地まで辿り着こう、というのが今回のミッション。


「古城には何回か潜入してる、地下墓地までは危険な箇所が多いけど、外で騎士団が大暴れしてくれるなら行けそうだね」

 ノノが作戦のおさらいをしてくれている。


「騎士団には騎士団の大義がある。平気だろう」

 誰よりも騎士団に信頼を置くダイ。現職の騎士団長は顔見知りだというのだから頷ける。


 いかに鈍感なハナでも少しずつ気付き始めていた…

 自分がアビスヘイム攻略を言い出したこと、それによって多くの人が動いていること、聖石を見つけることがハナ一人の問題だけではないということに…

 オヴェリア姫の力、おとぎ話が本当なら世界を変えるほどの力ということになる。

 失われた記憶に一体何があるというのだろう?

 いや、そこには何もないのかもしれない…


「明日には騎士団が古城前の平原で部隊を展開するわ」

 テーブルの上の地図に指でなぞるように騎士団の経路を辿るリコ。


「おそらく魔物たちもそこに集結するだろうな」

 いつもの腕組みのダイ。


「城内が手薄になるそこが好機ね」

 再確認するノノ。


「本当にぃ手薄になってるかなぁー?」

 以外と心配性のシム。


「その時は俺が道を作る」

 闘志だけならすでに充分のバト。


「突っ込みすぎだけはダメよ。こっちは回復役がハナちゃんだけってこと、忘れないで」

 リコさんはアタシに意地悪言ってるわけじゃない、状況をよく判っての発言なんだ、アタシはまだ駆け出しでCランク能力の冒険者…。


「…ヤってやる」

 物静かな殺気をたぎらせるルル、この人怖いけど…強い。


 すごい人たちばかり…なんて場違いなんだろう、でもアタシも出来る限り頑張るって決めたんだ!

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