第36話 三姉妹物語~プロローグ

 二十年ほど前の王都の東地区、

 決して豊かではない家庭に近所でも有名な三姉妹が住んでおりました…。


 長女「またチーコが捨て犬拾ってきちゃったよ!母さん!」


 次女「動物は嫌いですー」


 母「あらあら…」


 三女「だって…可愛そうなんだもん…」


 おおらかだけど活発な長女、

 優しい口調だが好き嫌いがはげしい次女、

 人付き合いは苦手だけど、愛情は深い三女。


 母「引き取り手が見つかるまでね、チーコ」


 三女「うん!ありがとー」


 長女「まったく、母さんはチーコに甘いんだから!カーコからも何か言いなさいよ!」


 次女「えー?!動物は苦手です…」


 長女は"お姉ちゃん"

 次女は"カーコ"

 三女は"チーコ"

 と呼ばれている。

 何故なのかは不明、いつの間にかそう呼ばれていて、それが家族と言うものなんだろうと三女は思っていた。


 三姉妹は丁度2歳ずつ離れていて、長女12歳、次女10歳、三女8歳。


 性格がそれぞれ違うため喧嘩は絶えないけれど、いつも一緒に行動して、仲良しだった。


 両親は共にナイトギルドに勤めているが、冒険者ではなく、倉庫番など用務員として働く父と事務や受付をしている母。


 両親が勤めていることもあり、ナイトギルドには三姉妹も行くことが度々あって、漠然としていたが、三姉妹は冒険者に憧れていた…。


 長女「私が騎士ー!」

 次女「私はプリーストかな…」

 三女「また私が魔物~?」

 長女「文句言わない、今日はゴブリン退治よ!」


 学校が休みの日はこうして三姉妹は裏庭で泥だらけになるまで"冒険者ごっこ"をして遊んでいた。


 もうすぐ長女は中等学校に進学する、少しずつだけど、それぞれの未来を考える年齢になってきいた…。

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