第30話 崩壊の城

 ―――――――


『愚かな…10余年の月日を無駄にするとは…』

 暗黒の世界でキルを一喝する者がいた…


『申し訳ありません…ザキ様…』

 深々と頭を下げて恐怖に怯えるキル。


『だが、あの騎士の娘は確認できた…キルよ、もう一度チャンスを与えよう…』


 チャンスとは…?

 つまり次を失敗すれば、人間に討ち取られるか、ザキに葬られるか、どちらかしかない。


『例の城がオヴェリアの力が弱まり、崩壊の刻を迎えている…』


『はい、前兆の地震を何度か確認しています』


『うむ、人間は必ずオヴェリアの遺産を求めて崩壊する城へ乗り込んでくるだろう…』


『遺産とは?』


『あまりの聖力のために我ですら手を出せん聖石と呼ばれている物だ…』


『聖石…』


『あれを人間に渡してはならない、城へ赴き人間の手に渡るのを防ぐのだ。このまま城を魔界の深くに沈め、聖石を無きものとせよ!』


『御意!』


 ――――――――


 再び魔族がハナ達の前に立ち塞がろうとしていた…

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