第29話 希望の光

 ――――――――――

(体が軽い…


 あぁそっか、アタシ、死んじゃったのかな…)


 でもここはいつも夢に見ている姫様と出会う白い雲の世界…。


(ここって天国だったのかなぁ)


「…ハナ…」


(あ!やっぱり姫様!)


「またしてもあなたは聖力を使ってしまったのですね…」


(え?聖力ってなんのこと?それに"また"って??)


「それはあなたに備わっている封印された力…」


(封印…?)


「私の心を…聖石を見つけて…、封印された力は聖石によって解放されます…」


(んー、でもアビスヘイムにあるんでしょ?あそこは怖すぎて行けないよ~)


「魔族は人間界では有限です…、必ず魔気が弱まる時が訪れます…」


(なるほど、その時にアビスヘイムに入ればいいのね!)


「崩壊が始まってします…、残された時間は僅かです、急いで…ハナ…」


(ねぇ!まって!さっきの"また"ってなんなの??)


「失われた記憶は自分で切り開かなければなりません…、自分と向き合うことで答えはおのずと見えてくるでしょう…」


(むずかしい言い回しだなぁ…解んないよ…忘れちゃってるんだもん…)


「自分を信じて…ハナ」


(自分を…信じる…?)


「希望を抱かぬ者に光が射すことはありません…」


(うん…ありがと!姫様♪、アタシ、もう一度頑張ってみる!)


 ―――――――――――


 暖かい光に包まれ、ハナは覚ました。


「ん…」


 白い…天井?

 長く眠っていたためか、視界がすぐにははっきりしない、でも、涙をいっぱいにしてこちらを見ている女性が、はっきりと誰なのか解った。


「ハナちゃん!!

 ごめん!ごめんね!ハナちゃん!!」


 涙の再会…


 大粒の涙は視力の戻らぬハナの視界を一瞬だがクリアにしてくれた…


 "この人達とだったら、大丈夫"


 未来への希望は溢れる涙の分だけ光輝き、二人の心に染み込んでいく…



「ただいま…リコさん」

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