episode2-2
新しい職場になって半年ほどたった頃
私の周りも少し変わった。
交代勤務のある私の部署は班が三つ。
日勤と夜勤の交代制。
同じ班だった、勝西さんは別の班になった。
だから同じ時間には仕事をすることは無い。
つまり。
今現状。喫煙所で私はひとり。
そう、いわゆる、ぼっちだ。
恐ていた事態が起きた。
同じ班のメンバーとも仲良くはなったけど、喫煙所にくるのは私だけ。
ここに来るには未だに覚悟がいる。
ドアを開け1歩足を踏み入れれば一斉に浴びる視線。
なぜ人は自分達のいるところに新たな人間が入る時見てしまうのだろう。
逆の立場なら多分私も見ている。
何を思うでもなく。善し悪しもなく。
なぜか、ふと顔を向けてしまうのは私だけではないはず。
話に夢中になっている時は流石にないかもしれない。
顔を向けることはないかもしれないけれど
そういう時は横目で見る。
しかし、今、私は逆。
目を向ける側ではなく、向けられる方。
この1歩踏み入れる瞬間、まるで電気が走るように体がこわばる。
悪いことはしていない。
ただ、ただ、人から向けられる視線というのは怖い。
それはきっと、過去のいじめが原因なんだろう。
いじめというには事が小さすぎるが
その出来事は思春期である私にとって人間不信になるほどだった。
勘違いから起きてしまったクラス全員から向けられる、自分より下のものを見る冷たい視線。
その後から影で。時には堂々と。挙句無視。
親に言えば「それでも学校に行きなさい。」
毎日毎日同じことの繰り返し。
その時から、大勢で集まるもの、とき、場所
それらが苦手になり、人見知りのきっかけにもなったのかもしれない。
現に小さい頃は人見知りなんてないと思っていたし、親にも言われた。
別に一人でいることなんてなれてるし……。
怖いだけで一人でもどうってこと……。
奥の左側に誰も座っていないところがあった。
机の両側にベンチ椅子。
壁側の椅子に座り心のモヤを洗い流すかのようにタバコに火をつけ、一気に吸い込み、一気にはく。
白い煙はまっすぐ勢いよく伸びていった。
「はぁ……。」
お願いだから私のこの席には誰も来ないでください。
ひたすら頭の中にめぐるのは、それだった。
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