第3話

なぜだか顔が赤くほてる。恥ずかしい。

「あの、急に言われてびっくりしたと思うんで、ゆっくり考えてください」

そう言って央は立ち上がって部室を出ていった。何だか落ち着いていつも通りだし、顔を赤くしたりしてこっちが恥ずかしい。だけど、机を見ると央の財布と携帯が起きっぱなしだった。これがないと何もできないだろうに。ああ見えて緊張してたのかもなと思った。


「武田~」

授業が終わり中庭を歩いてると、窓から同じ基礎ゼミの仲田が呼んでいる。仲田は1年の時から陶芸サークルに入っている。女子が多そうという目的だったが意外と陶芸も楽しいらしい。

「なに」

「益子の陶器市、行く?」

「行くよ」

栃木で開催される益子の陶器市は、作家ものの陶器もたくさん出るし、カフェやギャラリーも多く楽しいと先輩に聞いていたので前からたのしみにしていた。

「武田、行くって」

窓から乗り出したまま仲田は振り向き、誰かに話している。

「俺が行ったら何なの」

「いや、央に行くのか聞いたら武田先輩はって聞くからさ」

告白されて一週間以上、央の顔を見ていない。そうか、と孝史は思い出す。央は自分が好きなのだ。自分はどうしたいのだろう。央のことを嫌いではない。綺麗な子だなと思う。けど好きかと言われるとわからない。

央はそこにいるだろうに姿を見せない。じゃあな、と仲田に手をふり次の授業へ向かう。央は益子の陶器市、来るんだろうか。それとも気まずくて来ないのかな。少し気になった。

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