16.11.19

冬になると肺が冷える。


感覚の問題なのだが、外で呼吸を繰り返していると、

やがて肺が冷えきって、体の中から寒くなるような感じである。


筋肉質は脂肪が少なくて寒いとか、太っていると脂肪が冷えて寒いとか、

冷えに関する感覚はいくつも耳にするが、肺が冷えると言う人には

まだ会ったことがない。口に出すようなことではない、というのも

あるかもしれないが。


肺が冷えると今度は肋骨などにも伝わるようで、体の中の部分がひとつずつ

はっきりと意識の中に現れる。

体がパーツ単位で冷えて行くと、自分が部位の組み合わせで成り立っているという

気持ちが強くなり、ロボットみたいだなと感じる。

機械の冷たさとはこういうものなのかなとも思う。


一番最後に冷えるのはきっと心臓だろう。


心の在り処はどこだろうかという話になると、頭か心臓のいずれかだろう

という結論になる事が多いが、冬に限ると最後まで温かい心臓に心が宿るという

考えもまんざらではないなと思う。

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