16.10.22

友人の車で遊びに行くとき、大抵ラジオがついている。


今まで意識してラジオを聞くという習慣がなかった。

芸能人などに興味もなかったので、誰それのラジオを聞きたいとか、

そういう欲求がなかったからだと思う。


毎週土曜日に遊んでいるので、最近では聞いている番組を覚えてきた。

覚えたとはいっても、移動中のみ聞いているのでぶつ切りではある。


1人暮らしを始めて、生活がこんなにも静かなのかということに気づいた。

仕事以外で人と話すことはほぼなく、自宅にいる時は音を求めていつもパソコンから

映画や音楽を流している。転居前もいつも何かしら聞いていたけどね。


ふと自宅でもラジオを聞けばいいんじゃないかと思った。

映画や音楽よりも、ラジオはもっと雑多な音で構成されている。

それは人の声だったり曲だったり、コマーシャルだったりと。


でもそれ以上に、ラジオには会話のような先の読めない音がある。

リスナーの投稿などがその例だ。

目に見えない、誰ともわからない人の話を耳が拾う。

投稿はパーソナリティという変換を経て音になるので、また一捻りがある。

今以上に自分が満足できる音があるのではないかと思った。


これまでにもラジオを習慣づけて聞くタイミングはいくらでもあった。

にも関わらず今までラジオを聞いてこなかったのは、

自分の中でそれほど欲してないないからに過ぎない。


私は毎週欠かさず見るドラマやアニメなどとも無縁で、気に入った作品を延々と

見たり聞いたりするのが好きなのだ。

もし、ドラマやアニメを見るならば、完結してから全部見て、

気に入ったらループさせるという順番になる。

実際にそうやってループして見ているアニメも少ないがある。


私にとってラジオとは、それ自体が音なのではなく、

友人と車内で交わす言葉のクッションなのだと思う。

私と友人の会話の間にラジオという音が挟まり、また会話が展開されていく。

ラジオは私にとって、音の仲介者みたいな存在である。

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