刃物、アパート、レントゲン
近所のアパートに刃物を持った男が押し入ったらしい。菜々子から提供された話題はいかにも物騒であり、わたしは薄い検査着の下で肌を粟立たせていた。胸部レントゲン検査は学校の健康診断といえどブラジャーどころかキャミソールも身につけさせてはくれない厳密さである。だからわたしたちはごわついた布一枚にだけ包まれて花曇りの駐車場に立っている。心もとなさは体表をやすやすと抜ける風のせいか、春のせいか、はたまた刃物男の話題のせいか。自分の肘を抱く。妙に生温かった。
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