パフェ、ハーフタイム、銀行

サッカーの試合もハーフタイムに入り、モニターに釘付けだったお客たちもそれぞれお喋りに興じている。

「まーこちゃん、二番さんとこに持ってって」

店長の呼びかけに応えてパフェを盆に載せる。日替わりパフェは大抵奇をてらいすぎて

失敗しているのだけど、比較的無難にまとまった今日はそこそこ出ている。

二番テーブルにいるのは常連さん。バイトの私の顔も知っている。何故かよく絡んでくるので警戒してしまうのだが。

「まーこさんじゃん。元気?」

「はい、元気ですが」

「顔かたいよー?」

「いつもでしょうよ」

「そんなんでも彼氏の前では可愛く笑っちゃうんでしょ? 銀行員だっけ、なんか堅い仕事の人だよね」

「やめてくださいよ」

「照れちゃって」

恥じらいなどでは断じてない。そもそも彼氏は捏造なのだ。会うたびからかわれるくらいなら、見栄はるんじゃなかった。

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