マリモ、三つ葉、体育館
私は姉が嫌いだ。流行りものに目がなく、けれど手に入れたとたんに興味を失う。わざわざ北海道にマリモを買いに行ったかと思えば、一か月後には褐色になったそれがごみ箱に捨てられていた。四つ葉のクローバー探しに熱中した時なんて、その場で探さないで大量にむしってきては、三つ葉のやつを全部私に押し付けた。
そんな人間なのに、周りに人が絶えないことがもっと憎たらしい。さっきから歓声が上がりっぱなしの体育館を思わずにらみつける。理由ならとっくに知っていた。バスケに打ち込む姉は美しいのだ。それに筋肉質な身体も、いつもどこかしらにテーピングのある指も、努力の上にあるものだと理解はしている。
だけど私は姉が嫌いだ。眩しい光のかげにあっていつも不利益ばかり被る。そんな自分にとって、あの輝かしい姿は毒でしかないのだ。
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