麺、双子、紙

 頂き物の素麺を食べきるまでは夏、などと心の中で決めたのはいつのことだったか。すっかり季節は移り、朝晩はもうだいぶ冷える。火にかけた鍋に手をかざして、血の気の薄い指を温めた。残り物のスープに突っ込んだ素麺のなかに、ひとすじふたすじ色付きのものがあるのがどうにも滑稽だった。


 五歳になる双子の娘たちは、休日に限って早く起きてくると決まっていた。二人も幼い子がいるとちょっとしたことで大騒ぎになるのだけど、マンション住まいでは色々と気兼ねしてしまう。とはいえ朝食も済んで、幼稚園で流行っているという折り紙を与えた今は静かなものだ。


 私は鍋をコンロから下ろす。皿を出すのも洗うのも面倒だから直接箸をつける。このスープもどきを食べ終わるまで、つかの間の休息としようじゃないか。

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