招き猫、くるみ、黄金

 おばあちゃんは骨董店を営んでいる。だから遊びに行くたびに古めかしい玩具を見せてくれるのだけど、その選択はどうにも子供向けで、中学生になった私は若干うんざりしていた。


 今日は兵隊さんのくるみ割り人形。おばあちゃんがクルミを次々と人形にくわえさせて割っていく。


「やってみるかい?」

「うん」


 人形の口の隙間に殻のついたクルミを押し込む。レバーを下げるとぱきんと割れた。ずいぶん丈夫な顎をしている。私は機械的に皿に残ったクルミを割っていく。


 黒ずんだ木の棚の上で、先週見せられた招き猫が黄金色の目をぎらつかせていた。

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