老人、ファッション、寝坊
「また寝坊ぅ?」
休日午前十時の電車内で、短いスカートの女子高生が声を上げた。手にはスマートフォンが握られていて、カラフルな画面が映し出されている。周りに立った同級生らしき少女たちがきゃあきゃあと騒ぎたてる。車内にひびく甲高い声に、向かいに座ったご老人が眉をひそめた。
「ルナはほんとしょっちゅう遅刻するよねぇ」
「むしろちゃんと来たことあったっけ?」
「授業んときは遅れないじゃん」
「あれは親に追い出されるからって言ってた」
静かにするよう言いたかったが、彼女たちの姿は私を尻込みさせるのに十分「イマドキ」だった。くるんと上を向いたまつげや幾らか明るく染めた髪の毛は、少なからずファッションに気をつかっていることを予想させた。学校でも目立つ、力の強いグループの子たちだろう。
私はため息をついて手元の文庫本に目を落とす。目的の駅はまだまだ先だ。
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