繋ぐ、夜空、橋
高い塔と塔を繋ぐ橋が、夜空にぽつんと浮かんでいた。あまりに高いところにあるので、低い雲は足元にたゆたってミルク色の海になっている。満ちた月は十分にあかるく、ただ歩くぶんにはかがり火も必要ない。
少女がひとり、橋の真ん中から空を見上げている。月光はあまりに強く、星はその姿をかすませている。ただし、少女が目をこらして探すのは流星でも彗星でもない。
「きた」
白銀の月を背景に、無数の黒い影が飛来した。よく見れば、影のひとつひとつは箒にまたがった人のかたちをしている。少女は大きく手を振った。その頭上を人の群れが通過した。はたして空を行く一団に少女の身振りは伝わったのだろうか。
少女の足元で、月の色の眼をした黒猫が鳴いた。
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