パラシュート、真実、カラオケ

 最後の花火が打ち上がった。と、言っても手持ち花火のパックに入っている素人でも扱えるやつだ。上でパチンと爆ぜて小さな紙のパラシュートがおちてくる。駐車場のアスファルトに音もなく着地した。


 だらだらと燃えかすを拾い集めながら、男子がカラオケに行こうと話している。もうちょっと真面目に片付けてくれたらなぁとは思うが何も言うまい。こういうときに真面目な話をすると空気が悪くなるのは知っている。


 制服から火薬の匂いがする。この制服から開放されるまで、あと半年くらい。ださい制服は嫌いだけどクラスは好きになれた。もう時間がないんだよな、と焦りを感じる。受験勉強だって追い込みの時期だ。だけど、来てよかった。また頑張れる。ふいに、この日々が私にとって真実たいせつな記憶になるのだ、という確信が訪れた。

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