コロンブスの卵、人形、実行犯

「コロンブスの卵みたいな展開ですねぇ」


 私は検証に使った人形をもてあそびつつ先輩に言う。さっきまでここにいた探偵を思い出していた。人気の探偵というのは伊達ではないらしい。現れた時は顔がいいだけの男かと思ったけれど。


「実行犯をあっさりと言い当てましたもの。あとは裏を取るだけですね」


 先輩は黙って顎に手をやっている。浮かない顔だ。


「どうかしました?」

「いや、これはおかしい。矛盾しているぞ」

「えっ」

「あの探偵を呼び戻せ! くそっ、ポンコツめ」


 どうやら、第一印象の方が正しかったようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る