クネクネうねった迷路のような登校道は、自然という言葉がピッタリ当てはまるような草の道だった。

 何人か毎日見るおじさんやおばさんが居て、おはようと声をかけてくれる。

 この街では皆がみんな、家族のようなものだ。

 少しの間走って、息切れし、自然が生成したつくった綺麗な空気を肺に取り込む。

 元鏡中條小学校の敷地だという鏡中條公園の前を歩く。

 友達と遊ぶ時はここで遊ぶ。真っ平らでサッカーなどに適しているからだろう。遊ぶ時は奥の方にある、東屋が集合場所になっている。

 登校道をどんどん歩いて行くとコンクリートで出来た升のようなものが見えてくる。いつもなぜだか水が溜まっていて、よく友達と水切りをする場所だ。

 というか、そうだった事を覚えている。



 小学校で過ごした六年間は、今思えばあっという間に過ぎて、現在僕は中学校に通っている。

 あの時は楽しかった。純粋に楽しい、面白いという感情があって、下ネタだけで笑いあっていられた。

 今は、どうだろう。

 下ネタを言ってもそれほど笑う事はない。どちらかと言うと軽蔑の目で見られる。

 あぁ、変わっていってしまうのは怖い。それが最近の心の中の口癖だった。友達には恥ずかしくて言えないが、色々考えてしまう。そう、色々、だ。

 そう言っても、変わってしまうものはしょうがない。山梨の季節と同じように、少しずつ、少しずつ、少しずつ変わって行く。

 そして、小学校の横を通り若草中学校に着く。


 上靴を履き、教室に向かう。(三年生は一階に教室がある。)

 上にも橋のような通路があるため、トンネルのようになった生徒玄関から北館への通路で友人を見つけ、付いて行って生徒玄関まで戻る。

「よっ真司しんじ

 肩を叩いて気付かせる。見知らぬ人にやったら怒られる。いや、激怒されるかもしれない行動だ。

「やめろってけい。ったく」

 怒られた。

 そう言っていて、真司も僕が気をぬく瞬間を待って、虎視眈眈こしたんたんと見つめている。

 しかしながら、その目論見もくろみは果たされずに教室に着いてしまう。

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