第14話「新たなる世界」
貧富の格差が生んだ不満ですらイスラム国の台頭を齎したのだから、
世界が滅茶苦茶になった現状に不満を抱く人は多い。
ネオナチスはそれに付け込む形で蜂起したといってもいいだろう。
むろん政府も無能ではないので動きは察知していたが、
いくら世界の中心とはいえ平和憲法のあった日本で他国への介入は厳しい。
自国の防衛を語ることすらタブー視されていたことを鑑みれば、それはなおさらだ。
もし特定秘密保護法やその後の安保法案で、
日本が『戦える国』になっていなかったとしよう。
そうだった場合魔法少女の戦いを理屈で説明できず、
日本もニューワールドに陥落させられただろう。
その場合世界は、 今以上に凄惨極める状況となっただろうことはいうまでもない。
何しろ日本以外は全てニューワールドによって陥落したので、
もし日本までもが陥落すれば世界は今ごろニューワールドの物だったからだ。
むろん戦争がいいことだとは思わないが、 戦うべき時に戦わなければ何も守れない。
大切な物を守るためには力を振るい、 迫りくる他者を傷つける覚悟が必要だ。
傷つけずに守るというのは綺麗事でしかない。
ともかく危機を乗り越えた『放課後のメイザード』こと、
初代メイザードである神奈も今は戦線離脱している。
前述したように理香子以外のメンバーの協力を得られていないのもあり、
中保台学園の生徒達が対ネオナチスへの切り札なのだ。
ニューワールドは『クローンにより統治する新しい世界』を掲げていたが、
彼らは魔法によって動く兵器である『マジカルガイスト』を作った。
それが今の魔法少女が使う『マジカルロッド』のひな型となっているので、
彼らは別の形で新世界の扉を開いたといえるだろう。
『マジックロッド』の存在により、
魔法少女は魔法の消費を抑えながら戦える。
しかしそれにより魔法少女の戦力としての要因が増えたため、
魔法少女は戦闘機や軍艦以上の兵器となっているのだ。
だからこそ魔法少女を擁するネオナチスは脅威なわけだし、
日本政府も魔法少女の育成にやっきなのだ。
『マジックロッド』が無かった時代でも、
既存兵器では魔法使いに殆ど対抗できなかったのでなおさらだ。
ともかく、話を忍達に戻そう。
忍は今、寮で政府にこれまでのいきさつを連絡していた。
「そうなのか。まあいい、君は一応女の子を演じるんだろう?」
「ボクのミッションに変更がないならそうなるね」
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