第11話「錯綜する運命」
「それは分かるわよ、忍。凄く分かるわ」
「何か文句がありそうだね」
他人事な忍に頌子は冷静な対応をした。
「けど、ネオナチスに身元が割れてる以上それは無理があるわ」
「そこから性別がバレたなら別に構わないよ」
「その方が厄介じゃないの?」
「ボクの性別をいつから知ってたかなんて知りようはない」
「あなたがここに来る前から知ってたとは思われないと?」
頌子の疑問ももっともなので忍はこう返す。
「いってもそれについては誇大表現として聞こえるだろうね」
「そこは楽観視してるのね」
「ボクは事実を述べただけだよ。性別という秘密の前には霞む」
「そうすれば偶然男が来たように装えるから?」
「まあ、結果論でいえばそうなるね」
「そんな逃げの姿勢で戦うなんてらしくないけどね」
そんな頌子に忍は返す。
「らしくないという理由で性別を明かせる立場じゃないってことだよ」
すると、扉が開く。
「と、他の生徒も来たしこの話は終わりだね」
「そうね。今回はそうしてあげる」
無論会話の間に食事も取っていたので、忍はこう続ける。
「にしてもこのスープ美味しいね」
「切り替えが早いわね、あなた」
「それはボクの取り柄だしね」
「知ってるけど、ここで切り替えれるのは流石よ」
その日の放課後。
忍は拓夢が倒れたということで様子を見に行かされていた。
「何で拓夢が倒れたからってボクが見に行かなきゃいけないの?」
「まあ、ちょっと訳ありでね」
「そんなんじゃ納得いかないよ」
「納得がいかなくてもそういう物よ」
するとかすみが忍に伝える。
「つまり、政府絡みだということよ」
「それは何となく分かっていたけど、まさか拓夢も性別を隠していたりするの?」
「そういうことよ。察しがいいのがいいことかは分からないけど……」
「やっぱり『彼』は美夢なんだね」
「だったら行くの?ずいぶんと現金ね」
「親和性を感じただけだよ」
するとかすみはあきれたように行く。
「そういう理由で受けるあたり、結構単純なのね」
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