第5話「忍の奥の手」

「分かっているよ。メイザードは伊達じゃない!」

「『たかが魔法少女一人、押し返してやる!』って奴かな」

「怒られそうなネタはいい加減ほどほどにしてよ」

 そういってから忍はかんなに突っ込む。

「なるほど、早いわね。でも、私も最強と呼ばれる魔法少女」

「スピードタイプと戦ってないわけじゃない、とでもいいたげだね」

 すると忍は剣を投げた。

「マジカルロッドを投げるなんて、どうかしている……」

 かんなは難なく剣をかわすが、直感で何かヤバいと感じた。

「マジカルロッド、リターン!」

「マジカルロッドの呼び戻し機能を攻撃に転用した!?」

 戻ってくる剣がかんなをかすめる。

 備えていたため戻ってくる剣に突き刺さることは避けたが。

「剣が飛び道具として使えないと思ったら大間違いだよ!」

「なるほど、呼び戻し機能を使って剣をブーメラン代わりに使う」

 アニメとかではよくあるけど、とばかりにかんなは続ける。

「科学では不可能なことでも、『魔法』があればある程度再現は可能」

「まあ、呼び戻し機能は何かの拍子でマジカルロッドを落とした際の手段」

 だから、と忍は続ける。

「範囲には限りがあるんだよね。だから多用はできない」

「奥の手みたいな技を最初から使うなんてね」

「あなたがスピードタイプだろうと相手どれると思っているならまずは」

「意表を突く、とでもいいたげね」

「それは事実だよ。でも、ボクを舐めないでってことをいいたいんだよ」

 それを聞いたかんなは返す。

「いいわ、私にもクラス最強の誇りがある。あなたの噛ませ犬にはさせないわ」

「そういう人って大概噛ませ犬になるんだけどな……」

 それとも、と忍は続ける。

「まさかその杖、遠隔操作できたりするのかな?」

「さすがにそこまではできないわ。けど、見せてあげる」

「ミラージュ、オールレンジ!」

 忍は咄嗟に下へと動く。

「校舎にはマジックバリアがあるから、下に逃げようが構わないわ」

「だけどこの手の物は大概上に避ける。だから下は比較的薄くなる」

「そのくらい、読めてないとでも?」

 しかし、忍はそのままかんなの後ろに回る。

「まさか、うわあああ!」

 かんなは自分の曲げたビームに当たってしまいそうになる。

 だが、彼女は咄嗟にかわしてみせた。

「誘導兵器使うのは負けフラグと聞いたことあるけど、本当にやられるなんて」

 振り返った彼女の目前には、忍が迫っていた。

「ビームをかわして安心したようだね。悪いけど、隙だらけだよ」

 流石に目前の忍をかんなは避けることができず、彼女は切られてしまった。

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