置いてけぼり
日の出と共にもそもそ、タタタと動き出す愛犬たち。
パピヨンが顔を引っ掻く。時計を見ると05時。
世間様は連休ですが私は仕事。
いつものように散歩へと出かける。
ほんの少しの雨、そのためか気温は低く感じるけれど湿度が高い。愛犬たちには辛い季節。
ゴールデンレトリバーはどんどんと歩く。パピヨンはチョコチョコとついてくる。このいつもの光景はまぁ、長くて90分、07時過ぎには帰宅、08時30分に出かければいいから余裕だろうと思っていた。
途中、コンビニエンスストアに立ち寄り、愛犬たちにはおやつ、このあとは仕事だけど、私はビール。
そしてまた歩き出す。何回も歩いている散歩コース、お決まりのコンビニエンスストアにまた立ち寄る。時計を見ると想像より大幅に時間が経過している。帰宅してゆっくりとコーヒーを淹れる時間が足りなくなった。
あらら、急ぐよ
声をかけてリードを引くけれど、愛犬たちは蒸し暑さにやられて足並みは遅い。なんとか歩き出したものの、次のお決まりのコンビニエンスストアに立ち寄る。愛犬たちにとってこの休憩所はおやつがもらえる楽しいところ、避けて通らない。しゃがみ込んだゴールデンレトリバーの息は荒い。このあとは仕事だけど、私はビール。08時に帰宅が難しくなった。
ごめん、お迎えよろしく
妻に連絡、車でお迎えを頼んだ。
ほどなく妻が到着。妻が愛犬たちに声をかけると車に飛び乗って行った。私はお散歩用鞄を拾い上げると、下からカミキリムシが出てきた。コンクリートでは可哀想だと草むらへ放る。
戻ると車が・・・ない。見回すけれど、いない。
え? 私は夢を見ているのか?
いや、鞄は手元にあるから散歩してきたのは間違いないけど、愛犬たちがいない。
あ、置いてかれた。
しかたないから歩いて帰る。携帯が鳴る。笑い声が聞こえる。
こんなことが本当にあるんだ。
現実がすぐに受け入れられない自分がおかしくて笑った。
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