朝 07時30分 たまプラーザ駅から痛勤
花散らしの雨がしとしとと降る。
この雨では自転車には乗れず、今月、初めての電車通勤となってしまった。
ホームには準急が到着したばかりだが、絶対に乗車しない。少しでも早く目的駅に行きたい人が詰め込まれて、あの息がつまる混雑は、痴漢やスリさえ嫌がるだろう。
いつもの通勤にこんな状態の電車を使っている方々に頭が下がる思いよりも、少しはこんな酷い痛勤を回避する方法はないものかと考える。これぞ日本の「 THE サラリーマン 」なんて笑えないほど、あの混雑は尋常ではない。
渋谷に近づくたびに車内には人が増え続ける。つり革は当然手に届かなくなり、傘や鞄を持つ手や踏ん張る脚に力が入る。溝の口駅で大きく人の流れができて、少し空気が変わる。車両の連結部分を選んで立っているけれど、次第に余裕はなくなり扉に押し付けられる。今日は扉がなくジャバラ部分で不安定に立つしかなかった。やがてそれも人に押され、その狭い中に3人がいる始末。
三軒茶屋駅ではもはや、乗車不可能な状態にもかかわらず、人は押し寄せる。
「扉、閉まります」
アナウンスが5回も6回も繰り返される。なんとか閉まったかと思うと
「扉、一旦、開きます」
このアナウンスがお決まりごとのように響く。乗客のせいにした電鉄側の車間調整ではないかと疑ってしまう。
「次の電車をご利用ください」
次の電車も同じ状態であることは明白。
表参道駅で下車するために、渋谷で起こる大幅な乗客入替に紛れて扉付近へと移動する。そうしないと表参道駅で下車できない。たくさんの人が降りたのに、もっとたくさんの人が乗ってくる。弓なりになって乗り込む男性を係員が押し込む。苦痛に歪む表情の人とスマートフォンでゲームに興じる人が交差する。
雨の日こそ、自転車。
こんな痛勤を避けるために、そんな自転車を創ってくれー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます