006 崩壊の足音
1
じめっとした、薄暗い洞窟の中で、足音だけが聞こえる。静かだ。まるであの森のように。
「モンスターやなんかは来ないみたいっすね。」
「そうだね。これもシンジくんの力のおかげかな。頼りになるねぇ。」
ユオンさんは、そんなことを言いながら肘で小突いてきた。
「そんなことないですよ。」
あぁ、本当にそんなことは無い。これは森とは違う。今、俺から遠のいているのではなく、もとからここには何もいない、何も近づこうとしない。そんなことを感じた。
「あっ、分かれ道だ。二手に分かれよう。」
「ユオンさん、我々3人は右に行きます。ユオンさんはシンジといってやってください。」
「わかった。よし、1時間進んでもまだ道が続くようなら引き返し、ここに集合しよう。」
「わかりました。」
「よし、では行動に移ろう。」
「シンジ、また後でな。」
「あぁ。」
大丈夫だろうか、まだ戦闘経験の無い俺は、いないも同然だ。つまり、ユオンさんは実質1人というわけだ。でも、同い年で部隊の隊長やってるくらいだ。相当強いのだろう。頼りっきりで申し訳ない。
2
1時間、なんだかやけに長く感じた。心のどこかで何かに怯えているからだろうか。不安で仕方ない。まるで、入学してすぐの鎌倉遠足の班行動の時のような感覚だ。うん、いい例えじゃないか。
「シンジ、空洞に出そうだよ。」
「あっ、はい。」
いきなり道は開け、大きな空洞にでた。その奥には、純白の剣が、岩に刺さっていた。間違いない、あれが
「神器、、か、、」
「ユオンさん!」
俺たちがきた道とは、違う道からアラクさんがやってきた。
「よかった、合流出来たか。」
「ん、アラクさん、2人はどうし」
血の匂いがした。
「アラクさん、2人は。」
「ん、あぁ、2人は、、、」
アラクさんは、そう言うと、俺たちの前に何かを投げつけた。アラクさんは笑いながら
「ここだよぉ」
投げられたものに見覚えがあった、1時間前に笑いながらあとでと話していたはずの、見覚えのある2人の頭だった。
「「!!!!!!!!!!!!」」
「うっ、おぇぇえ」
初めて見る人の生首、人の死、流れる血、耐えきれず吐いてしまった。
「アラク、、おまえぇ。」
怒りの表情を浮かべるユオン。それを見てさらに笑い出すアラク。
「くっふっふっふっ、、、いい土産だろ、、いやぁ、それにしても、、、くっくっくっ、2人ともいい反応だなぁ、おい! 面白いぞ!はっはははは」
「ほざけ」
ユオンの魔剣の周りに朱色の炎が吹き上がる。ユオンの怒りを具現化したように見えた。
「いやぁ、美しいなっ!」
アラクの魔剣から水がユオンめがけて放たれる。するとユオンは、剣を軽く振る。水は炎に飲まれ、蒸発した。
「かぁ、一振りか、さすがだなぁ。まいった、まいった、、、、、、じゃあ、これなら?」
アラクはまた、魔剣から水を放つ。しかし、先とは違い、黒ずんで見えた。ユオンはまた、剣を振る、しかし、水は炎を突き抜けた。
「‼︎」
すぐさま回避した。
「あちゃー、避けられちゃったよ。でも、次は当てる。」
アラクは黒い水を乱射し出した。ユオンは、回避しながらアラクに炎を放っていたが、アラクは黒ずんだ岩に守られ、攻撃が当たらない。
「クソッ、、闇か。」
「ご名答、シンジくんと同じ闇属性の魔法を僕の陽属性の魔法に混ぜて放っているんだ。」
アラクさんが、闇属性を、なぜ持っている。
「闇落ち、なぜお前が。」
「ふふん、これこれ。」
アラクは、左腕の肩にはいった紋章をみせた
「!、、、天魔教」
「ご名答!」
「天魔教?」
「天魔教は、封じられた十の闇に宿る十の魔神を神と崇める危険集団だ。僕たち騎士の、殲滅対象の一つだ。」
「ただ、僕は、ただの教徒ではない。」
「どう言うことだ。」
「僕は選ばれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます