007 古の炎が燃立つ時
1
「物欲の闇、、、」
「さて、叩きつぶしますか、なっ!」
アラクが剣を大きく振るのとともに、黒い風が吹きつけた。ユオンも、熱風を放ち相殺したが、ユオンの技は押されているようにみえた。
「くそっ、、」
「つらそうだねぇ、守りに入ると」
アラクは物凄いスピードで、ユオンの懐にはいった。
「負けちゃうよ」
「っつ、、、、」
ユオンはとっさに目の前に炎を放ち、爆炎が包んだ。アラクは後ろに、きたスピードでまたもどった。ユオンは自らの炎で、右腕の服が燃えていた。
「くはっ、自滅自滅。」
アラクがユオンに剣を向ける、が、シンジが目の前に入り剣を思いっきり振る。アラクは後ろに跳び、回避した。
「俺も忘れんじゃねぇよ。」
「うーん、、、戦いにおいて大切な事。敵の中で先に倒すべきなのは、1番強い敵ではない。1番得体の知れない未知の敵を最優先で倒すべきだ。つまり現状において、君を狙うのが戦いの定石、しかしねぇ、」
アラクは不気味な笑みを浮かべた。
「僕は君を知っている。君よりね。」
「どう言う意味だ。」
アラクはまた笑みを浮かべた。物は試しだ、迷っている暇は無い。シンジは一歩踏み出し手を前にかざした。
「“貫け”」
言葉とともに影の中から棘状の触手がアラクめがけて伸びていった。きた!思惑通り!
「、、、、、、ふっ、、“防げ”」
アラクの影から触手が伸びアラクの前で広がり、シンジの触手を受け止めた。
「、、、なっ、、、」
「ふふふ、あーっはっはっはっは。だから言ったろ、僕は君を知っている。君よりねって。」
「ど、どういうことだ。」
「では君の反応が満点だったので特別にレクチャーしてあげよう。闇属性は強力だ。全魔法属性の中でもトップだ。しかし、闇属性は個性がほとんど無いんだよ。あるのは奥義ぐらいだ。だけどね、君みたいな初心者が奥義を使える訳がない。だから君は『
「くっ、、、」
どうすればいい、つまり俺の俺もまだ知らぬ俺の手の内が全て筒抜けなわけだ。カードゲームで手札を公開したうえ、山札の次のカードも見られるようなものだ。こんなの勝てるわけがない。
「シンジ!」
ユオンがアラクとシンジの間に、爆炎を起こし煙幕を張った。
「シンジ。よく聞いてくれ。僕は奥義を使う。」
「奥義って、」
「奥義は、その人の中の魔力核を目覚めさせ、その人個人の特有の魔法を使う事をさす。僕の奥義は発動に時間がかかる。だから、」
「時間を稼げって事ですね。」
「そういう事だ。できるか?」
「できるかってか、できなきゃ勝ち目無いですもんね。やります!」
「よし、いくぞっ!」
2
「隠れたって、何になるんですかねぇ、まったく、往生際が悪いですね。」
煙に向かって黒い風を放ち煙のあったところは吹き飛び、土煙が高々上がった。
「“貫け”」
土煙の中からシンジの黒尾棘が伸びる。アラクは軽々と防ぎ、シンジに向かい黒い風を放ち、シンジに直撃し、シンジは吹き飛び、壁に当たった。
「ぐぁぁあ」
「無駄って言ってるのに、」
くそっ、どうやってアレを貫く。
「“貫け、もっと鋭く”」
黒尾棘がさっきより鋭く伸び、アラクの黒尾棘にあたり火花を散らす。
「いい考えだ、でも、」
アラクはシンジの黒尾棘を振り払い。
「“貫け”」
くそっ回避は間に合わない。
「“防げ”」
盾を作るが、アラクの黒尾棘は、シンジのとは桁違いのパワーで、盾を貫通し、シンジの頬をかすめた。
「くっ、、、」
「あぁ、惜しい。」
くそっ、パワーも追いつかねえのか、くそっ、なら数だ。
「うぉぉぉお!」
シンジの黒尾棘が3本に増えた。
「“貫け”」
3本の黒尾棘がアラクめがけ伸びるが、軽々と避けられた。
「いやぁ驚きましたよ。素晴らしい。闇落ちしたやからでも、だいたいが1本しか黒尾棘を持っていないというのに、素晴らしい。 でも、扱えていませんね、スピードも落ち、コントロールも出来ていません。それでは宝のもちぐされだ。そして、、、」
アラクの影から5本の黒尾棘が伸びシンジめがけて放たれる。間一髪で避け、アラクの方を見上げると、アラクの黒尾棘がさらに3本増え、8本になっていた。
「なっ、、、」
「君が目の前にしているのは、十天魔の1人ですよ。」
次元が違う。くそっ、どうすれば、くそっ、衝撃で動けねぇ。
「終わりかな。」
アラクの黒尾棘がシンジめがけ伸びる。
くそっ、
すると、白の強いオレンジ色の美しい炎がアラクの黒尾棘を吹き飛ばした。
「 なんだっ!」
「シンジ、ご苦労だった。少し休んでいろ。」
「黒尾棘の再生が遅い。これは、、」
「『奥義:古の炎 エンシェントフレイム』 」
「精霊の炎かっ。なぜお前がっ。」
ユオンの周りから炎が吹き荒れる。
「どうでもいいだろ。さぁ、古の炎に焼かれて死ね!」
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