003 テンセイ
1
「春香、醤油とってくれ、」
「はいよ、珍しいね、お兄ちゃんが目玉焼きに醤油かけるなんて。いつもは塩だけたのに。」
「気分だよ」
実際は何かを変えたかったんだ。こんなバカみたいな事でも変えれば何かになるんじゃないかと思ったのだ。何かが変われば、あの世界につながるんじゃないかと思ったのだ。
「塩だけの方がうまいな。」
バカみたいな考えだ。
「あっ……灰崎君、おはよう。」
葉隠…まずい、気まずい。向こうもちょっと気まずそうじゃないか。
「おはよう。」
「じゃあ、またね。」
これは、完全に嫌われたな。まぁ、狙いどうりではあるが、なんとも言えないもんだ。
今日もいつもと変わらない。本を読んで1日が終わる。毎週火曜日と木曜日は、家の近所のコンビニでバイトしている。今日はバイトなので放課後までは残らず。授業終わるとさっさと学校を後にした。
2
「ありがとうございましたー。」
なんだろう、疲れたな。まだそんなに時間たっていないのに。全身が疲れてる。
「あ、灰崎くん、ドリンク、整理しといてくれない?」
「はい、わかりました。」
レジからでて、スタッフルームに向かおうとすると、足がもつれた。
「っと、、、」
「灰崎くん大丈夫?風邪でも引いたんじゃない。ドリンク整理終わったら、今日はもう上がっていいから。」
「すいません。」
店長は優しい人だ、人をしっかり見ていて、いつも俺たちを気遣ってくれる。帰り際に栄養ドリンクを一本手渡してくれた。
「ただいま。」
「あれ?お兄ちゃん今日は早いね。」
「あぁ、、今日は、疲れたからもう、寝るわ。」
「え?ご飯いいの?」
「いい、」
「んもう!おかず2人分作っちゃったじゃない」
そう言って、着替えもせず、ベッドに飛び込んだ。そしてそのままねむ…
『『『ドクンッ』』』
「ッツ…またか…」
「どうしたの?シンジ?」
「なんでもな…い……え?」
「どうしたんだい、シンジ。そんな不思議そうな顔して?ふふふ」
「いえ、、おはようございます。」
どうなっているんだ?またこの世界に戻ってきたのか?夢の続きなのか?
「ん?シンジ、今日もまた不思議な格好をしているね?」
「え?」
自分の服装を確認する。俺は、学校の制服を着ていた。ワイシャツ、学校指定のズボン、どうなっているんだ。
「今日の仕事について話があるから、着替えたら下に来てくれ。またあとでな。」
「はい…」
そう言って、ユオンは部屋を出ていった。
どうなっているんだ。どういう事なんだ。なぜ制服なんだ。俺は疲れたあまり、今日は制服で寝てしまった。疲れは取れていない。まるで、さっきっから起き続けているような。
睡眠をトリガーに、俺は2つの世界を行き来しているのか。時間はどうなんだ。両世界の俺の起きている時間は、俺の睡眠時間に収められているのか。周りの人間はどうなんだ。片方の世界の俺が、眠っている間の周りの人間は、どうなんだ、ユオンや第二隊のみんなは、春香は、どうなっているんだ。………俺は………眠れないのか。
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