くらがり峠の思い出

はじめに

　私は海外旅行に行くと、少し残念に思う事があります。

　それは、何故街はどこに行っても同じなのか？ ということです。

　マクドナルドがあって、建物は高層ビルで、道はアスファルトで、服装も似たり寄ったりで……もっと現地の、その国にしかない様なものが見たい！ 食べたい！ と思うのです。

　もしも貴方が日本でこれらを望むのなら、私は京都をおすすめします。日本のイメージらしさ、 寺社仏閣、着物に和食、京都行っとけば間違いないです。

　しかし貴方がもし、観光地化されていない所も見てみたいと思うのなら、田舎をおすすめします。私が外国人として旅行に行った時、思い出に残っているのは、田舎の風景です。田舎の中でも私が勧めるのは”街道”です。"日本 街道"で検索してみて下さい。現れる画像が貴方の琴線に触れるものなら、是非その街道に行ってみて下さい。

　京都にも田舎にも行きたいというのなら、ご提案いたしましょう。

　京都のお隣、奈良の街道を。

　まず、奈良を少し紹介したいと思います。奈良は京都の前に都があった所です。歴史あるお寺が多く、奈良といえば大仏、東大寺。日本最古の木造建築、法隆寺など有名な観光地がいっぱいあります。

　この辺のお寺に行ったり、奈良公園で鹿との攻防を繰り広げたり（ここの鹿は日本一ハングリーです。食べ物は隠すべし）、奈良町をそぞろ歩くだけでも”ワビサビ”を満喫したような気分になれると思います。

　また奈良には街道、古道がたくさんあります。万葉集の山辺（やまのべ）の道とか、宮本武蔵も行ったらしい剣豪の道、柳生街道（やぎゅうかいどう）とか。この辺の道は実に牧歌的でピースフルかつ、野趣（やしゅ）に溢れています。きっと素敵な旅になることでしょう。

　でも私が得勧めるのは暗峠（くらがりとうげ）です。

　旅は何故か苦い記憶と一緒の方が、いい思い出になり、いいお土産話になるものです。