第2話 オプティックブラスト

<童殺眼>俺は自らの力をこう名付けた。


この俺の<童殺眼>に掛かれば、偽りの経験人数など意味をなさない。


この能力に目覚めてからの俺は道行く美女のことをひたすら観察するという人に言えたものではない趣味ができたのだけれど、ある日、事件は起きた。


母さんと会ったんだ。


俺の<童殺眼>は、いわばサイクロプスの"オプティックブラスト"のようなものである。


つまり能力の垂れ流しなのだ。


視界に映る人間の経験人数から性感帯まで問答無用で視界に表示される。


覚悟はしていた、自分の肉親に会う時のことは、しかし予想以上にダメージが大きかった。


先ず俺の目に飛び込んできたのは、性感帯「ポチョムキン」の文字だ。


これにより、どうやら父さんと母さんは俺の知らない隠語を駆使しているらしいという知りたくもないことがわかった。


いや、でも問題はそこではない…。


経験人数0人…、そう表示されていたんだ。


まさか…、母さんが処女だなんて、そんな筈はない。


性感帯「ポチョムキン」本番行為以前に深く関係する隠語なのか。


いや、この際、ポチョムキンはどうでもいい。


どこでパーマあてたんだよと思うくらいアイパー並みにくるくるした髪の毛で「ザ・おばちゃん」という風貌の母さんが処女というのは、引く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

童殺眼 さわら @ogasawara08

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る