第26話 家の中で

孝介くんが、学校に行ったのが、ちょっと寂しかった。

(ああーあ……たいくつだなぁ)

(これじゃあ、学校に行けないよね……)

(麻里花と比呂哉くんも心配しているだろうな……)

(まさか、夢の痛さが私にも感じるなんて……)

(この、おみつという人は、自分の痛みや思いを伝えたかったんだろうな……)

(それに、私の予想では、お嬢さまの人形に取り憑いたと思う……)

(おそらく、人形がお嬢さまに何度も襲いかかり、恐ろしくて人形を手放したんだわ……)

(そして、いろんな人の手に渡り、幽霊の子に取り憑いたんだわ!!)

『私って、頭、冴えてる!!』

『なんじゃ!! いきなり叫んで⁉︎ 何かあったのか?』

『ごめんなさい。 ちょっと頭の中で推理してて……』

加奈美は、恥ずかしくて顔を赤くした。

『おじいちゃん、私、元に戻るかしら……』

『大丈夫だ! 必ず、ワシが治してやるからな!!』

『熱を計って、手を出しなさい。』

おじいちゃんは、そう言うと手を清めてくれた。

さっきより、痛みが引いた。

『おじいちゃんが、清めてくれたから、だいぶいいよ』

『そうか、それは良かった』

『少し休みなさい。』

『はい。そうする』

加奈美は、寝る事にした。


小春は、両親にものすごく怒られた、特に父親が酷かった。

『小春、どうして馬鹿な事をしたんだ。』

『理由はなんだ!!』

『あなた、そんなに怒らないでやってくださいまし……』

『母親のお前が甘やかすからこんな事になるんだ。』

『小春話しなさい。』

『おみつが、どんどん綺麗になってきて、羨ましかったし……』

『縁談の時も、翔太郎さんが、お茶を運んできた、おみつを見つめていたから、腹が立って、おみつを呼んで、手を何度も棒で打ったの!!』

『おみつが、手の腫れを冷やす為に井戸にいたの……』

『他の女中がおみつに、(あなたが綺麗だから妬いているのよ……)って言った時、おみつは、(小春お嬢さまの方が綺麗だわ……)と当たり前の様に言っていたわ。』

『おみつを困らせたりしても、嫌な顔をせずしてくれたわ』

『でも私は、そんな優しくて、思いやりのある、おみつが、羨ましいし、妬ましかったの……』

『だから、井戸の近くにいたおみつを追い詰めて井戸に落としたのよ』

『おみつを探しても見つからないと思って……』

『小春、なんて事をしたんだ。』

『おみつは……お前の腹違いの姉だったんだぞ……』

『えっ‼︎ 使用人じゃなかったの……』

『お前も、おみつも知らないだろう』

『ワシが小春の母と結婚する前に、好いた女がいてな……』

『ワシもその人と結婚したいと思っていた。』

『だが、ワシの両親は反対して、小春の母が嫁いできた。』

『ワシの子を一人で産んだ、おみつの母は、おみつが、四つの時に亡くなり、お前の母が嫌がるので、女中として、我が家に引き取ったんだ』

『お前がいつも呼んでいるから、中が良いと勘違いをしてしまった。』

『おみつには、可哀想な事をした。』

『小春、お前は人として愚かだった。』

『尼となり、姉の菩提を弔う事にする。』

『後継ぎは、親戚の者にでも、任せることにする。』

『尼になった小春は、人形を置いて寺に入った。』




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る