第25話 朝になっても
『う…… 怖かった……』
『起きたのね‼︎』
『あっ、お母さん付いててくれたの! ありがとう』
『おはよう加奈美!! どうじゃ熱は』
『おじいちゃん、おはよう』
『まだ、熱があるし、手も痛いわ……』
『そうじゃのう! 今日は、無理だから学校は休みなさい。』
『心配するだろうから、孝介くんに連絡する様にな』
『はーい』
『加奈美! 手を出しなさい!!』
『だいぶ腫れは、引いたようだの……』
『だが、まだ安心できないから、清めなくては……』
おじいちゃんは手の腫れや熱を下げるために、呪文を唱え始めた。
〈ピンポン〉
『はーい。 孝介くん、今日はいつもより早いわね』
『おはようございます。何かあったんじゃないかと心配になって……』
『今日は、熱があるから、学校を休ませるのよ』
『加奈美、そんなに悪いんですか……』
『孝介くん、加奈美を見舞ってあげてくれる⁉︎』
『いいんですか⁉︎』
『加奈美も喜ぶわ!!』
『お父さん、孝介くんがきたので、上がってもらいました。』
『おはよう孝介くん! 来てくれてありがとう。』
『おはようございます。おじいさん、加奈美』
『おはよう孝介くん。』
『加奈美は、昨夜夢で、黒いモヤの痛みに共有したみたいで、手が腫れ、熱も出してな……』
『俺、今日学校を休んで、お手伝いします。』
『それは、ダメだよ学校は行かなきゃ』
『加奈美の言うとおりだよ』
『学校にちゃんと行ってから、手伝って欲しいな⁉︎』
『わかりました。』
『加奈美は、どんな夢を見たんだい?』
『小春というお嬢さまが、おみつという綺麗な女中に、イジワルするの……』
『ある日、お嬢さまに縁談の話しが来て、それからまもなく、相手の人が、家に来たのね……』
『おみつさんは、お茶を出しただけなんだけど、お嬢さまは、色目を使ったって怒り、棒で、おみつさんの手何度も打ったの……』
『その晩、おみつさんは、井戸のところで、打たれた手を冷やしてたの、そこへ、女中仲間がやって来て、おみつさんが綺麗だから、イジワルするんじゃない? って、言ったんだけど、おみつさんはお嬢さまの方が綺麗だって言ったのね!』
『ほかの女中さんがいなくなってから、話を聞いてたお嬢さまが、おみつさんを追いつめて、井戸に落ちて死んでしまったの』
おみつさんの魂は、井戸を登り、音を立てながらお嬢さまの部屋にいき、お嬢さまの両親の前で、おみつさんの形をした黒いモヤは、お嬢さまの首を絞め、そのまま消えてしまったの』
『これが、私の見た夢よ』
『もしかしたら、自分の悲しみを知ってもらいたかったんじゃないかな……』
『消えたあと、もしかしたら、人形の中に入ったのかも知れないし……』
『私の予想だけどね……』
『孝介くん!学校、遅れちゃうよ!! 気をつけてね!! 行ってらっしゃい』
『行ってきます。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます