第19話 えっ父親、母親って何のこと!!
『おじいちゃん、無事お祓いが終わって良かったね』
『そうだな……良かったんだが……』
『いいか、よく聞け、孝介くん、君はあの幽霊の子達の父親の来世で、成仏したあの子達の父親になる事になってる』
『えっ!!』
『加奈美!! お前も、よく聞きなさい。 お前は、あの幽霊の子達の母親の来世で、成仏したあの子たちの母親になる事になってる』
『えっ……えーー!! だって、私、今、高校生だし、孝介くんとは、昨日から、付き合い初めたんだし……母親とか、子供とか言われても……』
『父親は、孝介くんだぞ!! 加奈美、良かったな』
『えっ孝介くんが、私の旦那さま……』
『加奈美!! 俺たちは、来世だったとしても、ちゃんと好きになって、付き合う事にしたんだろ⁉︎』
『だから、一からの恋愛で、決められたから付き合ったんじゃないだろう』
『そうだね、ちゃんと好きになって付き合ったんだよね』
『孝介、加奈美おめでとう』
『おめでとう!! 二人とも!!』
『そいうことは、将来、親戚同士になりますな⁉︎ 楠さん!!』
『そいう事になりますね!! 山内さん!!』
(加奈美は、まだ、嫁にやらん……)
(と、言ってもいずれそうなるか……)
『みなさん、今日は、急な呼び出しに応じて下さいまして、ありがとうございます。』
『いえ、こちらこそ助かりました。』
『さそってもらい、ありがとうございます。』
『私もです。 先祖の成仏が叶い嬉しく思います。』
『あと、黒いモヤの事が気になるので、この塩を家の四隅と部屋の入り口と寝室に置いて下さい。』
『最低三日は、塩を置いてください。』
『一度使った塩は利用しないで、必ず捨てて下さい。』
『何かありましたら連絡を下さい。』
『孝介くん、麻里花、比呂哉くん、気を付けて帰ってね』
その日、みんなは、解決したと思いこんでいました。
ただ、神主のおじいちゃんは、何か気になるようで、心配だからと、数日、家に泊まる事にしました。
『今日はグッスリ眠れそうだわ……』
『怖かったけど、孝介くんとは、運命だったなんて、嬉しすぎる……』
その夜は、何事もなく、みんなグッスリ眠りました。
その時、加奈美の足元には、黒いモヤが人の形で立っていました。
それは、目をギラギラさせて、幸せそうに眠る加奈美を、睨むように見つめていました。
加奈美は、夢をみました。
最初は、高校を卒業し大学生に成っていて、孝介くんと変わらず仲良しな夢を見ていました。
けれど、途中から古い大きな家の夢をみました。
そこはまだ、誰もが着物を着ていて、髪を結っている時代の夢でした。
夢の中の少女は、平凡な顔立ちで、良いところの娘なのか、綺麗な着物を着ていました。
そして、この少女の世話をしているのは、同じ年頃の綺麗な娘で、地味な着物を着ていました。
ある日、この家の両親が、娘に人形が贈りました。
とても可愛らしい日本人形でした。
少女は、とても可愛がり、自分の着物とお揃いの着物を作り、着替えをさせていました。
ある日、世話をしている少女に向かって、娘は言いました。
可哀想に、人形でさえ良い着物を着ているのに、お前の格好は地味ね‼︎と、笑いました。
世話をしている少女は、ぐっと我慢をしました。
ーピピピピピ……ー
『うーん…… 朝か⁉︎ 変な夢見たな……』
と、思いながら、下に行くと、おじいちゃんがビックリしてこっちを見ていました。
『どうしたんだ、その手首!!』
『えっ⁉︎ 何コレ……』
『やはり、黒いモヤは、成仏できなかたようだな!!』
『そんな……』
加奈美は、ガックリした。
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