第18話 お祓いしましょう

『南さんの所ではどうでしたか⁉︎』

『私は、分からないので、息子に話させます。』

『俺の所には、足音が聞こえて、うるさいなーって思ったくらいで、眠ってしまいました。』

『比呂哉くんは、豪胆ごうたんだねー』

『お話しありがとうございます。』

『大体の状況は、わかりました。』

『みなさん、黒いモヤは、女の子が死んだ事で消えたと思いますか⁉︎』

『いえ、取り憑いたままだと思います。』

『弟は、黒いモヤに殺されたんだと思います。』

『私も、そう思います。』

『だから、黒いモヤと女の子を切り離す必要があるのです。』

『うちの娘を含め、みなさんのお子さんは、狙われていると思います。』

『娘と同じ様になったら、大変なので、お祓いをしたいと思いますが、しない方は、いらっしゃいますか⁉︎』

『お祓いをお願いします。』

『うちも、お願いします。』

『俺も、立ち向かうために、お祓いをお願いします。』

『でわ、始めます。』

『楠 加奈美、並びに、江口 麻里花、 並びに、山内 孝介、並びに、南 比呂哉に、関わりましたる霊魂との縁を切りたきたもう……』

((そうは、させないわ))といい、幽霊たちは、姿を現した。

驚いた親たちは、一瞬逃げそうに成ったが、かろうじて、理性をたもった。

『私たちは、我が子を愛しているの、だから、やめて下さい。』

『お願いです。 この子を連れて行かないで』

『ご先祖さま、どうか、お許し下さい。』

幽霊は、聞いていた。

((私が先祖という者よ、なぜ、そういうのだ⁉︎))

『あなたは、自分が死んでる事を知っていますか⁉︎』

((知っているよ、だが私たちは、成仏できないんだ。))

((お前たちが話した、黒いモヤは、不幸で亡くなった少女の魂だと思う))

((既に私に、絡み付いているために、剥がすのは困難だろう))

((この霊は、私の幸せが羨ましくて、取り憑いたようだからね))

『そんなことが……。』

『ご先祖さまというのは、あなたたちが亡くなった後に、産まれたあなたたちの弟の事で、俺の祖父の祖父だからです』

((なんと、弟の……))

『あなたたちの両親は、反省をし、生きてい間中、あなたたちを気にしてたそうですよ。』

((そんはずはないだろう))

『証拠は、お墓にありますよ。』

『それに、あなたたちが成仏できたら、来世では、あなた達を、幸せにしたいと死ぬ直前まで、話していたそうです。』

((そんなことは、嘘だ、信じないわ))

『これは事実です。嘘ではありません。』

その時、孝介と加奈美に異変が起こった。

突然、大人声で話し始めた。

『娘よ許しておくれ、お前に人形をあげたのは私だ、まさか、取り憑いていたなんて、思いもしなかったのだよ……』

『そうよ、あなたには、酷い事をしたわね……本当にごめんなさい。』

私たちは、産まれ代わり、あなたたちが成仏して、落ち着いたら、私たちの子供として生まれてほしいの……』

『今度こそ、大切にするからね……』

『大切にするからな……』

((何、勝手な事を……私たち、成仏できるの))

((この、黒いモヤも……))

『そうです 。成仏できますよ』

((そうね、成仏しましょう。待ってても退屈だったしね))

((お父さま、お母さま、成るべく早く読んで下さいね))

((神主さん、私たちを成仏させてくださいね))

神主の祖父は、心を込めて祈った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る