第10話 みんなの所にも……

何とか、助かった……。

父親は加奈美に近寄り、ケガが無いか確かめた。

すると、首に絞められた痕がくっきりと付いていた。

どうしたらこの痕が消えるんだろうか……。

『加奈美!! 大丈夫か⁉︎ この痕消えるだろうか……』

『明日は、お祓いしような‼︎』

『うん。 わかったわ……』

『加奈美!! あなた!! 大丈夫だった……』

『お母さん、由美、心配させてごめんなさい。』

『どうなるかと思ったけど、諦めてくれて助かったよ』

『お姉ちゃんもお父さんもケガが無くて良かった……。』

『あっ!! お姉ちゃんの首に手の痕がくっきり付いてるわ……』

『消えるかしら……』

『塩は、清めの効果があるらしいから、塩で洗ってみたらどう⁉︎』

『うん。 そうする』

『お風呂に入っている間、側にいてくれる』

『わかったわ』

(うわー? すごい!! この痕)

(私だけ襲われたのかしら……)

(みんなは大丈夫かしら⁉︎ 孝介くんは無事かしら』

(こんな時にまで、孝介くんのことを考えてしまうなんて……)

(恥ずかしい……)


麻里花のうちは、引っ越して来た家だったので、誰も呪いの家のことを知らなかった。

『ただいま。』

『おかえりなさい。』

『おかえり』

『今日は遅かったわね』

『クラブのみんなと、隣り街の美濃山みのうさんに自転車で行って、途中から徒歩で登ってきたのよ。』

『まあ⁉︎ それじゃあ、疲れたでしょう』

『夕ごはん、もう少しだからね』

『わかったわ』

(今日は、大変だったわ……)

(それにしても、呪いの家って本当にあるのね……)

(着替えよう……)

『ごはんよ!』

『はーい。』

『どうした…… 疲れたか⁉︎』

と、父親麻里花父が聞いてきた。

『うん…… ちょっと……』

『あのね! お父さん、美濃山の呪いの家って知ってる⁉︎』

『詳しくは、知らないけど、あるらしいってことを、聞いたことがあるな…… だけど話しだけなんだろ⁉︎』

『お父さん! その家が本当にあったの!!』

『また…… 麻里花は、父さんをからかって……』

『冗談じゃないわ!! 』

『本当なのよ!! 雨が降って、廃虚でみんなと雨宿りしたの……』

『そして、その家を探検してたら、お札がビッシリ貼ってあって、帰ろうとした私たちに、幽霊の女の子は、みんなの頭の中に、語りかけてきたの……』

『また…… 麻里花は冗談言って……』

『冗談じゃないわ!! 本当よ! 私以外の三人も見たし、聞いたし、その上、追いかけられたんですもの……』

『追いかけられた…… なんですって!!』

『加奈美は、足首を捻って痛かったみたいだけど、私たちは必死で、逃げて自転車に乗って逃げ帰ってきたの……

『諦めないって、幽霊が言ってたから……怖いわ』

『そうか、今日は、私たちの部屋で一緒に休みなさい。』

『うんそうするわ』

目を閉じた親子を、ジッと見ている者がいた。

それは、女の子と男の子の幽霊だった。




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