第8話
自分のアパートの駐車場に着いても女は動かなかった。このまま部屋に入るまで眠り続けていてくれることを願いながら車を降りた。
ボロアパート前の駐車場には誰もいない。俺の部屋は一階の角部屋だ。駐車場から部屋に運び込むことに時間はかからない。俺は運転席から出て後部座席のドアを開けた。ガムテープとロープを持ち、トドのようにシートに横たわっている女の足を掴んでこちら側に引き寄せる。足を外に出し、同に手をまわして直立させた状態で外に出してドアを閉めた。女を引きずりながら素早く部屋へ向かった。遠目なら酔って歩けなくなった女を立たせて無理矢理歩かせているかのように見えるだろう。まわりには誰もいないし、監視カメラなどもなかったが、なるべく手早く済ませたかった。
小さな玄関に辿り着いてドアを閉め、女を部屋へ続く廊下に投げ捨てたらホッとしてその場にへたり込んでしまった。いろいろな感情が込み上げてきて涙が出た。
俺はやった!
俺はやってしまった!
俺は勝った!
俺は!
俺は・・。
ああ・・・・・・・・。
一線を越えた証が今、目の前に転がっている。その現実に押しつぶされそうになりながら前を見ると女と目が合った。完全に目が開いていたわけではなく、うっすら開いているだけだが確実に俺の姿を捉えていた。その目を見て萎えていた俺の欲にカッと火が付いた。
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