第10話

 アーリータイムズのボトルを傾けるが空だった。覗き込んだボトルの底にサクラ・バーの灯りが透けて輝いている。普段より点灯されている照明の数が多い。寝惚けて歩く夜更けの繁華街の灯りとよく似ていた。

「何やってんだよ…」

 ケイスケが笑いながら声を張る。それでも周りの騒音に掻き消されて聞き逃しそうだった。ヒロシとアキラも近い席で何かを話しているが、声は聞こえない。振り返って広場を見渡す。辺りの露天バーの殆どの席が埋まっている。サクラ・バーのカウンターの中に居る女の数もいつもより多かった。

「祭りみたいだね。女の子も多いしさ、いつもはどこに居るんだか知らないけど、こんなに人居たんだね、この島」

「何言ってんの、祭りだよ。フルムーンパーティ」

「パーティったって、やるのは向こうの街でしょ」

「そう、こっちまでこんなに盛り上がってるのは珍しいけどね。最近晴れ続きだったから、みんなもう雨は降んないと思ってはしゃいでんじゃない…、夏が始まったってね。でも、向こう行ったらこんなもんじゃない…、もっと盛り上がってるよ」

「向こうの祭りがどんなんだか知らないけどさ、サクラ・バーだってこんなに客が埋まってんのは初めて見るよ。それで、パーティにはいつ行くの…、酒ももうないよ」

 僕はボトルを逆さまにしてケイスケに見せる。

「あれ、もう空なの…、夕方に開けたばっかだよな、それ」

「殆ど自分で飲んでたじゃん。まあいいけど、パーティに合わせて仕込みたいからさ、キメるタイミングわかんないよ」

「…今日は何持ってきたの、俺の分もあるんだろうな」

 ケイスケはグラスを空けた後に手を差し出してくる。

「勝手なことばっか言ってんなあ…」

 僕はジーンズのポケットから取り出した銀紙の包みをケイスケの手の平に握らせた。

「…で、いつ行くの」

「陽も落ちたしね、ぼちぼちなんじゃない」

 ケイスケは包みの中から取り出した錠剤をそのまま口に放り込んで、笑みを浮かべた。

「何…、今からキマってたら、朝まで持たないんじゃないの」

「別にさ、フルムーンパーティーだけがメインじゃないって。バーハーツなんかも盛り上がってるよ」

 ケイスケがそう言いながら席を立つ。

「まあ、飲んでるのにも飽きたしね。でもそこで潰れて終わりになんかなんないようにな」

 立ち上がろうとした僕の足にもつれて椅子が倒れた。ケイスケはカウンターの中に向かって何か声を上げている。椅子を直しているとヒロシが側に立っていた。

「まだちょっと早いと思うけど…、もう行くん?」

「いや…、バーハーツに行ってみようかなって。そっちも盛り上がってるって言うしさ、ケイスケが」

「まあ、夜も長いしね、それもええかもしれんけど、バーハーツ行くんならサンタフェまで行ってみるってのはどう? パーティーにもそっちのほうが近いしね」

「ああ、いいねサンタフェ。バーハーツより盛り上がってるよね、絶対」

 ケイスケが僕の体越しにヒロシにそう返す。ヒロシが笑う。ケイスケがこちらを見たので僕は頷いた。ヒロシとケイスケは何か話しながらカウンターから離れようとしている。二人の後に付いていこうとした僕は、誰かに腕を掴まれて振り返る。アキラだった。

「…パーティー、行くんでしょ」

「そうだね、ヒロシさんとケイスケと一緒にね」

「やばいもんは置いていきなよ。前にも言ったと思うけど、最近は厳しいみたいだからさ。ここんとこ何人もやられてるって話聞いてるし、たまにはさ、酒だけってのもいいんじゃないの」

「昼間っからケイスケと一緒に居たからね、もう手遅れ。でも、手持ちは全部こっちでキメてくよ」

 アキラは笑いながら手にしたビール瓶を僕に見せつける。

「これが一番だと思うんだけど、それじゃあ仕方ないね。俺なんてさ、みんなガンギマリでぶっトンでても、これだけで結構付いていけるもんだってことに最近気付いたよ」

 アキラは元居た椅子に戻っていく。ケイスケはサクラ・バーから少し離れた場所に一人で居た。僕が側に近付くと、ケイスケはサクラ・バーのほうを指差してみせる。そちらを見ると、客で埋まっているサクラ・バーのカウンターの上に蝋燭が並べられていた。初めて見る女が端から火を点けて回っている。いつの間にかカウンターに戻っていたヒロシが椅子に座っていた。

「何だろ、あれ…」

 僕はケイスケの横に並んで訊いた。ケイスケは首を傾げる。

「パーティだからかね…」

 そう答えたケイスケに、今度は僕が首を傾げてみせる。

「ヒロシさん、また座ってんじゃん…。どうするの」

「うーん、まあ急ぐこともないしね。ヒロシさんと一緒だとどっか連れってってもらえるかもしんないし、楽しそうじゃん」

「…どうだろうな」

「お前、結構色々連れてってもらって遊んでるしさ、いいよな。この間も港のほうに行ったって言ってたじゃん」

「言うほどじゃないと思うけど。ヒロシさんに付いていってもさ、結局はこの辺ぶらぶらしてるだけなんだけどな。隣街のサンタフェだっけ、そこに行くのだって今日が初めてだし」

「あれ、そうだっけ。まあ俺が連れてこうと思ってたけど、中々ね。向こうの街、サンタフェだけじゃなくてほかにも色々あるからさ、今度また連れてってやるよ」

「よく言うよ…、島に来たときからお前に世話してもらったことないじゃん。初日からサエコとしけ込んでてさ」

「そうだっけか。まあ、もう切れちゃったからさ、そんなこともないけどね…」

 ケイスケはそう言うと、僕から目線を外した。サクラ・バーのほうを見ている。開いた瞼が動く気配がない。瞬きを忘れているんじゃないかと思った。ヒロシがカウンターの中に居る女と話している。蝋燭に火を点けて回っていた女だ。ケイスケの横でしばらくその様子を眺めていると、振り返ったヒロシが手招きをしてくる。ケイスケが手を上げて反応すると、ヒロシはにやつきながらカウンターに体を戻す。何かを喋り出した女のほうに耳を向けている。近付くと、ヒロシが女に何かを渡していた。

「この子の誕生日なんやって、ええ日に来たね」

 ヒロシが渡していたのは札だった。女が着ているワンピースには至る所に札が挿されている。女がヒロシの前に置かれた蝋燭に火を点ける。女は僕とケイスケを交互に見て、微笑んだ。

「そこに札挟むと火点けてもらえるんだ」

 ケイスケがにやつきながらそう言う。女の胸を見ていた。

「そうそう…、面白いやろ。君らもやってみるとええよ」

「…って言ってもさ、点ける蝋燭がもうないじゃん」

 僕はそう言いながら女に札を渡す。ケイスケも財布から札を取り出す。にやついたまま体を乗り出すと、カウンター越しの女の胸元に、押し付けるように札を挿し込んだ。それを横で見ていたヒロシが笑い出す。

「なんや、ダンクシュートみたいやったなあ…」

 微笑んだ女が何か喋ったが聞き取れなかった。たぶん、礼を言ったんだと思う。女はこぼれ落ちそうな胸元の札を押さえたまま僕達の前を離れる。ヒロシの後に立ったままでいると、ナオミが寄ってくる。グラスを渡してくれた。側に居たケイスケもグラスを受け取る。

「あの子にお祝いくれたんでしょ、それは私の奢りね。パーティ行くんならまだ早いわよ、ちょっと寄って行けば?」

 ナオミがそう言って笑みを浮かべる。ケイスケが笑う。

「…陽があるうちから飲んでたんだけどね」

 ケイスケの言葉を笑って聞き流しながら、ナオミはカウンターの中に戻っていく。グラスに口を付ける。甘ったるい酒が注がれていた。立ったままでいるケイスケがグラスを何度か煽って口の中を濯いでいる。僕の視線に気付くと、舌を出して見せた。錠剤がいくつか舌の上に乗っていた。

「何か眼ギラギラしてると思ったら…、お前それ、全部飲んだんじゃないだろうな。一晩分だぞ」

 ケイスケがそう言う僕を見てにやつく。

「持っていけないんだろ、どうせ」

「まあ、そうだけど…」

 僕はそう言いながらヒロシの横に座る。ケイスケは立ったままでいた。ヒロシがケイスケを見てにやついている。僕はシャツのポケットにある銀紙の包みを開いて中身を全部口に入れた。グラスの酒で流し込もうとするが、一気には飲み込めなかった。喉に張り付いた錠剤が胃に落ちていくまでにしばらく時間が掛かった。額から汗が吹き出てくる。

「…なんや気合い入ってるなあ」

 ヒロシが顔を寄せてきて、そう言った。

「アキラさんがさ、やばいもの持って行くなって」

「そうなん。まあ、それに越したことはないけどね」

「ヒロシさんはどうするの、また紙食ってんの?」

「そうやね、財布の端にはいつも何枚かは入れっぱなしやから、一晩中持つかはわからんけどね」

「それ、やばいんじゃないの、ばれないかな」

「どうやろ、これ見ただけでわかる奴はそうおらんと思うけどね。アキラ君は一回向こうでパクられそうになってるから、それで警戒してるんやろうけど、そんなに気にせんでもええと思うよ、ここらでもパクられるときはパクられるから」

 ヒロシはグラスを傾かせて氷を遊ばせている。ケイスケがヒロシの横に座る。ヒロシに何か話し掛けている。二人の話し声は聞き取れない。僕は煙草に火を点ける。煙が乾いていて味がしない。グラスを空けてカウンターに置いた。バーの奥から流されている音楽に乗って、自分の心臓の鼓動が聞こえてくる。リズムに合わせて体が揺れる。椅子の上から浮かんでいくようだった。体が軽い。カウンターの中に居たナオミと目が合う。微笑んでいる。ナオミはカップを載せたトレイを運んできた。

「特製スープ用意したの、飲んでいくといいわよ」

 ナオミが目の前に置いた小さめのカップには黄金色のスープが波立っている。胡椒の匂いが鼻を掠める。

「…幻覚見たりしないよね、酷い目にあったことあるんだけど」

 僕の呟きが聞こえたのか、ヒロシがこちらを見て笑う。ヒロシとケイスケの前にもカップが置かれている。色も柄違うが同じくらいの大きさのカップだった。ケイスケがスープの匂いを嗅いで眉を顰めている。ヒロシは躊躇わずカップに口を付ける。

「うん…、クサのスープやね、ここらの人がよく飲むやつ。幻覚見ることはないよ…、ただのご祝儀かな」

「ご祝儀って、誕生日だからかな、それともパーティのほう?」

「…どっちかはわからんけど、記念日なんて何でもこじつけで作れるし、騒げればなんでもええからね。理由は何でもええんやないの…、実際ほんまに誕生日の奴なんておらんのかもしれんしね」

 ヒロシは笑いながら僕にそう答えると、またカップに口を付ける。僕もヒロシに促されるように少しづつスープを口に入れていく。薄い味付けのスープに、柑橘系の香りと酸味がする。黒胡椒のような黒い欠片が、切り刻まれた大麻の葉だろうと思った。ケイスケが一気に飲み干していた。それほど熱くはなかったので僕もすぐにカップを空けた。

「そろそろでしょ…、体熱くなってきたしさ」

 ケイスケが僕の側に寄ってきてそう言った。僕も頷いた。食道から胃の辺りが熱くなってきて、下腹部に意識が集中していく。身体が徐々に煮立っていきそうだった。ケイスケが奇声を上げてカウンターから離れていく。

「何だかよくわかんないけど、そろそろかな」

 僕は抑え付けるように、ゆっくりとヒロシにそう言った。

「頃合いやね。隣街、取りあえずサンタフェにでも行ってみようか」

 そう言って立ち上がろうとしたヒロシよりも先に僕が立ち上がる。身体が羽根のようだった。軽く跳ねただけでバーの屋根くらいなら飛び越せそうだと思った。ヒロシがにやついている。ケイスケが手を広げて広場を駆け回っている。カウンターの中でそれを見ていたナオミが体を曲げて笑っている。

 僕を後ろに乗せたケイスケのカブが、広場から続いた未舗装路を抜けてアスファルトの道路に入る。しばらく走って家屋が見えなくなった頃に峠道を登り始める。空気が凝縮されていくように冷えてきて、視界が霧掛かったように白けて見える。前を走るヒロシの背中が暗闇に掠れている。それほど離れてはいない。ヘッドライトの灯りから外れそうで外れない距離を走っている。カーブが続いて小刻みにカブのギアが落ちる。跳ね上がるエンジン音に合わせて体が揺れる。山際に沿って続く峠道から海が見えた。満月に照らし出されて水平線が輝いている。二台のエンジン音が響く星空に、僕は立ち上がって両手を掲げたいと思った。

 緩やかだった山の頂上から下り始める。道路の先に街の明かりが見えてくる。ケイスケが手で合図を寄越してきたが、目的地がそこであるということはすぐにわかった。山を降りきってしばらく走ると、レストランやコテージらしき建物が次第に目に入ってくる。いくつもの看板が重なり合うように立てられた十字路を目印にするように、ヒロシのカブが速度を落とす。右折して穴だらけの未舗装路に入る。ケイスケもヒロシに続く。砂埃を巻き上げながら跳ねるように走る。僕は転げ落ちないようにカブの荷台を掴み直す。レストランなどの店舗が並んでいるがどこも閉まっている。木製の電柱にぶら下がるように取り付けられた薄暗い街灯が、まばらに歩く人々を置物のように浮かび上がらせている。ホテル・セントラルの辺りであればもう郊外に抜けているほどの時間を走っているが、民家らしき建物は見かけないので、まだ繁華街を抜けたわけではないようだった。碁盤上の通りから曲がりくねった一本道を抜けた後、目映いくらいの灯りの渦に包まれる。通りの両脇に並ぶ建物はどこも派手なネオンで飾られている。前に立つ女達の様子から、バーや飲み屋の類だろうと思った。開いていない建物の前には敷き詰められたように屋台が並んでいる。気が付けば人混みの中を走っていた。誰かにぶつかるんじゃないかと思っていると、ヒロシが速度を落とし始める。ケイスケもヒロシに追突しそうなほどの距離まで近付く。歩いているのと変わらない速度のまま開けた広場に出る。低い壁に囲まれた寺院のような建物が視界に広がる。入口らしき崩れかけたアーチの側に人集りが出来ている。『サンタフェ』と描かれた看板が掛けられているのが見える。その様子を横目に眺めながら建物の端まで来て、ようやくヒロシとケイスケのカブが停まった。消えたエンジン音の代わりに、建物から漏れる音楽が聞こえてくる。バーハーツで流している音楽と似ていたが、もっとコアなトランスのようだった。ヒロシが僕とケイスケを待たずに歩き出す。慌ててカブから降りようとしたケイスケが躓いてよろけている。振り返ったヒロシがケイスケを見て笑っている。立ち止まっていると、排泄物が乾いたような饐えた匂いが漂ってくる。目を凝らさないと見逃しそうなほどの暗がりの中に男が居た。座り込んで壁に寄りかかっている。油でも被ったかのように全身が黒ずんで汚れている。何処を見ているのかわからない。ケイスケが僕を呼ぶ。その場を離れようとしたとき、男と目が合った。にやつきながら男が、「ようこそ」と言ったような気がした。遅れた僕はケイスケとヒロシの背中を追ってサンタフェの入口に向かう。

 入口付近の人集りを縫ってサンタフェの敷地に入る。二階建ての建物が目に入ってくる。人集りで先が見通せないが、一階部分だけでも明らかにバーハーツの大きさを超えていた。オープンになった二階のテラスでスモークが焚かれていて、雲の上に浮かんでいるように見える。そのテラスに向かう階段をケイスケが上がろうとする。

「何処行くの…」

 僕が呼び止めるとケイスケが振り返る。

「取りあえずさ、酒でも仕入れてからかなって」

「…それもいいけどさ、早速ヒロシさん居なくなったんだけど」

 僕の言葉に立ち止まったケイスケは階段の手摺りを掴んだまま辺りを見渡している。ヒロシを捜しているのだろうと思った。

「見えないね。まあここまで来ればさ、別にいいんじゃないの」

「結構人居るけどさ、パーティってここでやってるんじゃないんでしょ。行き方って知ってんの?」

「うーん…、あんま覚えてないけど、カブ停めた先に船着き場あって、そこから違う島に行くんだよ、確か」

「当てになんないな。行くんだったらヒロシさん見つけないと」

「まあ、そうだね」

「お前にもだけど、あの人にも初日のバーハーツでほっとかれたんだよね、まあいいんだけどさ…。酒って二階に売ってるの?」

 音楽に乗って身体を揺らしているケイスケは、何かを考え込むようなそぶりを見せた後、そのまま階段を降りてきて一階に戻ってきた。

「売ってそうな気がしただけ。一階の奥にあった気がする」

「来たことあるんじゃなかったっけ?」

「いつもベロンベロンだし、覚えてないよ…。サクラ・バーで飲んだあのスープさ、結構来るな。腹の底から効いている感じ。んで、あのクスリもやばい。スープに入ってたクサとさ、交互に来てる感じで、まじでやばい。何なのあの錠剤」

「さあ…、エスかなんかじゃないかと思うんだけど、そう言えばちゃんと聞いたことない。知らずに買ってるんだよね」

 僕がそう言うとケイスケが大声で笑い出した。立ち止まっている僕とケイスケを人の群れが避けていく。この場が人の渦に巻かれているようだった。

「悪くないからいいんだけどね、クールだよ。お前結構好きなんじゃないの、こういうの」

 笑い終えたケイスケがそう言う。

「何だよそれ…、嫌いじゃないのは確かだけどさ」

 僕はそう答えながら階段の脇を抜けて建物の中に向かう。横に並んできたケイスケは跳ね上がりそうなくらいに身体を揺らしている。建物の中に入る。入口のホールから人が溢れていている。側で踊っている男にぶつかりそうになる。フロアの端が微かに見える。所々にある柱以外に区切りがない。一階全体が踊り場になっているようだ。中央にある円形のカウンターがバーになっている。横に居たはずのケイスケが両手を挙げて回りながら、踊り場の人混みに混じっていく。そのままムービングライトの灯りが外れるのと同時に姿を見失った。動きを止めて探そうとするが、すぐに諦める。地響きのようなベース音が足の裏から頭に突き抜けていく。全身に聴覚があるようだった。人混みを掻き分けてバーに近づく。カウンターの中に居る男に声を上げて頼んだバーボンは紙コップに注がれて渡された。軽く口に含む。ストレートを頼んだつもりだったがロックだった。荒れた喉に冷えたバーボンが染みる。フロアを見渡す。皆揺れている。自分が揺れているだけなのかもしれない。よくわからない。紙コップの氷を口の中に含ませる。カウンターを背にしてもたれていると、知らない女が横に立った。声を掛けてくるが何も聞こえない。僕は女の口元に耳を近付ける。

「氷、分けてもらえる?」

 髪が短かったせいか、暗闇の中に見えた女の顔は少年のように見えた。僕は女が手にしていたグラスに氷を移してやる。暗闇に一瞬当たった照明に浮かんだ女の顔は微笑んでいた。化粧も薄く軽装だったのでそうは見えなかったが、僕に買って欲しいのだろうと思った。

「今からパーティー行くから…、また今度ね」

 僕がそう言うと女は口をすぼめる。

「…じゃあ、そんな顔して立ってなきゃいいじゃない」

 女はそう言い残して僕から離れていく。僕は自分の頬を撫でてみる。自分がどんな顔をしているのかわからなかった。周りを見ると僕だけが止まっているような気がしてカウンターから離れる。辺りにスペースを探すが見当たらない。常に誰かとぶつかりそうになる。バーボンを飲み干して紙コップを握り潰すと曲が変わった。いや違う。曲が変わるのに合わせて握り潰した。ストロボが点滅し始めると、周りの動きがコマ送りのように見える。フロアの端まで来ると人と人との間隔が空いてくる。壁を背にしてフロアを見渡す。踊っている誰もが昔からの親友のように思えてくる。目の前で踊っていた女が僕を見て笑みを浮かべている。それでやっと自分が笑っていることに気付く。駆け出したくなるほど体は熱かったが、夜明けの森の中を歩いているかのように視界は冷え切っていた。

 どれくらい中に居たのかわからなかったが、元来た入口から建物の外に出ると、夜空の色が変わっているように見えた。辺りで騒いでいる客達の声が、建物から響く音楽を掻き消している。入ってきた時に通り過ぎようとした階段の上から風が吹いた。汗で湿ったシャツが風になびいて体に貼り付いてくる。音楽は何処にでも鳴り響いているが、二階のテラスでは誰も踊っていない。一階の踊り場を冷ますように風が吹いているようだった。吸い込まれるようにテラスに向かう。階段を上がり切る前に、テラスの端に置いてある何台かのビリヤード台が視界に入る。居るだろうとは思ったがヒロシの姿を見付けた。手にグラスを持って台を囲んでいる。横に立って声を掛けるまでヒロシは僕に気付かなかった。

「ビリヤードだろうとは思ってたけどね…」

「…サンタフェの台が一番綺麗やから。緑が鮮やかで、数も多いし…、ほら見てみ、神秘の森の中やろ。死ぬんなら絶対こんなとこがええね」

 ヒロシは横目で僕を確認した後、ビリヤード台の上から目を離さずそう言った。僅かに体が揺らめいている。

「ケイスケも居なくなっちゃたよ。いつものことだけどさ」

「さっき見たような気がするけど、大分前のことやったかもしれんし、どうやったかな。知らん女の子とおったよ」

「そう。楽しそうだね、みんな」

「君もそうやろ」

「どうかな…。踊ってる奴がみんな、昔からの仲間って感じがするんだけど、それでもよく見ると全然知らない奴ばっかでさ、急に何処に居るのかわかんなくなっちゃうんだよね、もう訳がわかんないって感じで…」

「そりゃ楽しそうやね」

「パーティーってどうすんの。ここでやるんじゃないよね」

「うん、違うよ。この建物の先、カブ停めたとこの先に船着き場があって、そこからボートで小さな島に行けるんやけど、そこでやってる」

「そっか、そういやそんなことケイスケも言ってたね。こっちも十分結構盛り上がってるから、もう始まってるんじゃないかって思ってたよ」

「こっちはこっちで楽しいけど、ちょっと別もんやね、盛り上がりがどうってわけやないんやけど。でも、そろそろ行かんとね、十分遊んだでしょ。ケイスケ君はどうする…、探そうか」

「別にいいんじゃない、見付かる気がしないよ」

 僕の言葉にヒロシが笑う。ヒロシは持っていたグラスをサイドテーブルに置いて、笑顔で僕を見る。ふと、キュウの笑顔を思い出した。二人の笑い方がよく似ていることに、今気付いた。

 歩き出したヒロシの後に続く。僕が上がってきた階段を降りるのかと思ったが、テラスの奥に進んでいった。螺旋状の階段が見える。そこを降りると中二階があってそこから建物の中に入る。カウンターとテーブルがあって、中はバーになっていた。席は何処も埋まっていて立ち飲みの客で溢れている。壁がガラス張りになっていて踊り場が見下ろせる。少しだが音楽のボリュームが抑えられているようで、人の声が理解できる形で耳に入ってくる。

「パーティ行く前にもう一杯だけね。今日もビールなん?」

「いや、夕方からバーボン飲んでる…、サクラ・バーからずっとだけど」

「そう、じゃあフォアローゼズか、それともアーリータイムスかな…」

「どっちでもいいよ。もう何飲んでもわかんないし」

 僕がそう答えるとヒロシは笑いながらカウンターに向かった。僕は分厚そうなガラスの壁にもたれ掛かる。踊り場を見下ろすと、ストロボの残像が夜空に消えていく花火の欠片のように視界の端に映った。カウンターに目を向けるが客で溢れていてヒロシの姿が見えない。探していると、側のテーブルで僕を見ていた女の顔に焦点が合う。フェイクの店主、ユイだった。ユイは煙草に火を点けながら僕を見ていた。僕が近付いていくと、指先に挟んだ煙草の煙を燻らせながら手を振ってきた。

「一人?」

 ユイは上目でそう訊いてくる。

「いや、ヒロシさんと、あとケイスケも…」

「そうは見えないけど」

「ヒロシさんはそこに酒を仕入れに…、ケイスケは下の何処かには居ると思うけど」

 僕がそう言うと、ユイが微笑む。光沢のある薄いピンクの口紅が輝いている。

「目、キラキラしてるわよ」

 ユイが顔を近付けて僕の目を覗き込んでくる。

「自分ではよくわかんないんだけど、笑ってるみたいでさ、ずっと」

 ユイが口を手で押さえながら笑った。

「そうね、笑っているわ。いい顔よ」

 ユイが体を揺らしながら笑うので、煙草の先から甘い香りの煙が漂ってくる。

「ユイさんは一人で来てるの?」

 ユイが煙草を持つ手を止める。驚いたような顔で僕を見る。僕は意味もわからず黙り込む。

「横に居るの…、わかんない?」

 ユイがそう言った。横を見る。キュウが居た。いつもと服装が違う。観光客にしか見えなかった。

「…キュウさん? どうしたの、なんでここに居るの…。びっくりした、セントラルに戻らないからさ、心配してたんだよ」

 キュウは何も喋らなかった。僕と目を合わせることもなく、すぐに横を向いた。

「…面白い組み合わせやね。二人でおるんは初めて見たけど、ちょっと珍しいね」

 戻ってきたヒロシがそう言いながら、グラスを僕の前に滑らせる。僕がヒロシを見ると、ユイも釣られて顔を向けた。

「…残念ね、一人のほうがよかったかしら」

 ユイが笑みを浮かべながらヒロシに答える。キュウがユイを見る。睨んでいるようにも見えた。

「いや…、そんなつもりで言ったわけじゃあないんやけどね。僕なんか、あんまり近寄らんほうがええかもね」

「そんなこと…、ないわよ」

 ヒロシとユイが話しているのをキュウが眺めている。僕はキュウの側に寄った。

「全然戻んないからさ、死んだのかと思ってたよ。キュウさんの部屋に前居た人、死体で見付かったってさ、山の上にある湖畔の側だって」

「…聞いたよ、大騒ぎだったんでしょ」

「そう…、キュウさんがこっちに居るの、誰も教えてくれなかったからさ、死体が見付かったって聞いたとき、キュウさんだと思ってて、あんときは怖かったよ、本当に。こっちにいつまで居るのかしんないけどさ、セントラルには戻って来ないの?」

「そうだね。ちょっとこっちで仕事しててね、一段落したらって思ってるんだけど…」

「そうなんだ。こっちでって、どんな仕事?」

 キュウはまた僕から目を外す。

「…やばいやつ?」

 僕がそう訊くと、キュウはゆっくりと頷く。横目でユイを見ている。僕もユイを見る。ユイはヒロシの話を聞いている。笑みを浮かべている。僕はヒロシが持ってきたグラスを一気に煽った。舌が痺れていて、グラスのバーボンは何の味もしなかった。

「キュウさん、何か飲む?」

 キュウは首を振る。僕は空けたグラスを握ったまま席から離れる。ストロボライトが点滅するたびに意識が途切れそうになる。もつれそうな足を止めて、ふと振り返る。ヒロシとユイの側に静かに居るキュウだけが、どこか違う空間に居るように見えた。足元に目を落としながらカウンターに向かう。意識と身体が分離している。頭だけ宙に浮いているんじゃないかと思った。身体の感覚に実感がない。しばらく歩いたような気がして顔を上げる。それでもカウンターはまだ先にあった。頭の中でグラスが割れるような音が響く。手にあるグラスの感触を確かめる。僕が落としたわけではなかった。振り返るとヒロシが床に転がっていた。ユイがキュウを抑えながら声を荒げている。真顔だった。ヒロシがもがくように起き上がろうとする。口の端から血が流れていた。周りの客が集まっていてヒロシを中心に輪が出来ている。ユイがキュウを引っ張りながら輪から離していく。僕は気が付くとしゃがみ込んでいて、ヒロシの肩を支えていた。何かを呻きながら起き上がろうとしている。ヒロシが手を掛けたテーブルの上から、灰皿に置かれた煙草がバランスを崩して床に落ちてきた。ユイの口紅が付いた細長い煙草が床に転がって、線のような煙が伸びていく。

「ついとらんね…、殴られるとは思わんかったなあ…」

 立ち上がったヒロシは切れた唇を手の甲で拭った。

「何が起きたのかよくわかんないんだけど、キュウさんに殴られたのかな…、ちょっと信じられないんだけど」

 ヒロシは首を傾げて僕を見ると、そのまま歩き出す。辺りはもう落ち着いていた。入って来たときと変わらない様子で、こちらに気を掛ける者は誰もいなくなっていた。

「そこ…、トイレあるから、行ってくる」

 奥を指差したヒロシが振り返る。

「行くよ…、一緒に」

 僕はヒロシの後に付いていく。周りを見渡す。キュウとユイは何処にもいなかった。

 蛇口が開いたままの洗面台にヒロシが唾を吐く。まとわり付いた血がなかなか流れていかない。線を描くように水が赤く濁っている。蛍光灯が白いトイレの壁を輝かせていて、光の中に居るようだった。遠くで聞こえる踊り場の音楽は洗面台に弾ける水の音に掻き消されている。ヒロシが水を掬って口を濯ぐ。身を屈ませたヒロシの背中と僕が洗面台の鏡に映っている。誰だろうと思った。それが自分の姿だと気付くのにしばらく時間が掛かった。目が、自分で意識しているわけではなかったが見開かれていて、瞳孔が輝いていた。充血しきった両眼は血で濡れているかのように真っ赤だった。

「ほんと、ついとらんなあ…」

 ヒロシが体を起こして口の端を拭う。振り返って僕を見ながら笑った。

「さっき君も言ってたけど、自分が何処におるんかもわからんよね。そんな顔でしょ、僕も君も」

 ヒロシが洗面台から離れる。トイレの出口に向かっている。蛇口から出る水が辺りに跳ね返っている。僕が蛇口を閉める。立ち止まったヒロシが天井を見ている。釣られて僕も視線を上げる。音楽がどこからか、微かに漏れてくる程度だったが聞こえてくる。

「静かやね、ここは…。騒がしいとこ…、パーティー、行こうか」

 そう言ったヒロシに向かって、僕は頷いた。

 サンタフェを出てカブを停めていた通りを歩く。出てすぐには気付かなかったが、周りの建物の隙間から白んだ空が見えていた。それでも入口には来たときと余り変わらず人が溢れていて、サンタフェに向かっていると思われる人の群れが途切れる気配はなかった。

「空明るくなってきたね、いつの間にか」

「そうやね…」

 ヒロシは何にも関心を持つことなく前を向いて歩いている。

「パーティーってまだやってんのかな…」

 僕の言葉に不意に立ち止まったヒロシが振り返る。僕の顔を見て笑った。

「ほら…、サンタフェの入口、あんなに人おってね、明るくなったことなんて誰も気にしてないでしょ。夜明けなんて照明の色が変わったぐらいにしか思ってないのよ。島の人間にとっては観光客の相手がやっと終わってね、これからやね、この時間からが夜の始まり。これからみんなで遊び始めるって感じやからね」

 ヒロシと共にまた歩き出す。しばらく歩くと足音が砂を踏む音に変わる。サンタフェからずっと鳴っていた音楽はもう聞こえない。通りの先に海が見える。その上に空が広がっている。薄い光に照らされて夜空は消えかかっていた。白いペンキが塗られた木製の桟橋があった。ヒロシが足を止めて辺りを見渡している。誰も居ない。僕も足を止めた。波の音と、どこからかわからなかったが、木が擦れて鳴く音が聞こえていた。

「…こっから先は船に乗って島に行くはずやったんやけど、さすがに遅かったかな。船、終わったみたいやね…」

 ヒロシは独り言のように呟いて、もつれるような足で桟橋の端に腰を下ろした。桟橋全体を揺らすような音がしたが、思ったよりも丈夫に出来ているようだった。僕もヒロシの側に座る。どれくらいの距離なのかは掴めなかったが、遠くにいくつもの小島が見えた。

「いつもやったら向こうの島に着いててね、みんなでぐるぐる回ってるだけやから、この時間でもパーティ自体は盛り上がってるんやけど、そこに行く船がないってのは盲点やったね…」

「…船頭も島の人なんでしょ、仕事終わらせてパーティで踊ってるんじゃない」

 僕がそう言うと、煙草を咥えたヒロシが笑う。

「この辺やと知り合いもおらんしね、セントラル辺りの島の人間に聞いたら舟持ってるんもおるかもしれんけど…」

「アキラさんとか?」

「いや…、持ってないと思うよ。それにアキラくん、島の人間っていうわけじゃないよ」

「そう…、でも、ヒロシさんもアキラさんも、キュウさんとかもさ、みんなもうこの島の人にしか見えないよ」

「そう言われるとね、確かにそう見えるんかもしれんけど、どうなんやろうね…」

 ヒロシが煙草に火を点ける。空に向かってゆっくりと煙を吐き出している。

「…キュウさんもアキラくんも長いしね、もうこの島に住み付く気でおるんやろうけど、僕なんかは結構出たり入ったりしてるから、島の人間って言われてもピンとこないところはあるね…。自分でもようわからんっていうか、僕だけやなくみんなそうやと思うんやけど、本土のしがらみが嫌でここに来てるわけでしょ。しがらみって何かっていうと、人の記憶に残っていくってことやと思うんやけど、そうすると結局ここでもしがらみ出来ていってね、ここがほんとの居場所なんかようわからんから、まだ違うとこにある気がしてきてね、それでまあ本土戻って金貯めてね、そのたびにどっか違うとこ行こうかって考えるんやけど、結局ここ…、気付いたらいつもここにおるんやね、何でやろうね…」

 ヒロシが桟橋の上に寝転がる。両手を伸ばして背伸びをしている。波が弾ける音がする。風に乗ってきた潮の香りが鼻を掠める。

「君なんかは向いてるんやないかと思ってるのよ、この島に。結局どこにおるんも金は要るしね、アキラくんみたいに器用に商売できるわけやないけど、クスリやったら得意分野やろ、それで一緒にプッシャーやらんかなって君誘ったんやけどね。付き合い長いわけじゃないけど、うまくいくような気がしてね」

 ヒロシは寝転がったまま僕の目を見る。

「わかんないけど、そんな仕事できる度胸ないし、マメじゃないからね。ケイスケに呼ばれてこの島に来たけど、何が目的で来たのか自分でもよくわかってないんだ。ただフラフラしてただけなんだと思う。そんなんだから、そろそろだとは思ってたんだよね…」

「そうなん…。いつ出ていくん?」

「今日、戻ってからかなって…。パーティー行けなかったのは残念だけどね」

 僕はそう言い終えると、ヒロシは僕の目から視線を外した。ヒロシは寝転んだまましばらく黙っている。空を見ているのだろうと思う。

「いつの間にやろ…、いつの間に見送る人間になったんやろうなあ、僕も。君はここに来た日からやけど、ずっと前からここに住み着いてるような空気があったから、余計にそんなこと思うんかもしれんね…。大体はね、ケイスケ君とかみたいに島でやれること全部やろうって感じでね、まあ楽しそうやけど、それで居着いた奴っていうんはあんまりおらんような気がするしね」

「キュウさんは…」

 僕はそれだけ言って、一度喋るのを止めた。ヒロシは空を見たまま動かない。

「キュウさんはどうしたんだろうね。ユイさんと何かあったのかな」

「どうやろうね。出来てるって感じではなかったけどね。あいつも…、ユイも結構前から知っててね、昔まだそこらの街角に立ってた頃に知り合ったんやけど、ああ見えてクスリの達人でね、気が合ったよ。そりゃあもう色々と教えてもらったしね、夢なんかあったわけでもなかったけど、今の店買うってことになってね、金も出したし、一緒にやるつもりやったしね、それでもなんでやろうね、ずっとはおれんかったよ、おる気もなかったんかな、そんでまた島から出ていってね、しばらくしたらまたふらっと戻ってきてね、そんなんやから、もしキュウさんがユイと出来てるんやったとしたらね、そら殴られるわな」

「…あの二人がどうだってのはわかんないけど、寂しかったんじゃない、キュウさん。一緒に何かやりたかったんじゃないのかな」

 ヒロシは僕の言葉に答えなかった。しばらく黙っていた後、声を出して笑い出す。

「…そうやろうね、それであの部屋に入ってからあんな格好しだしたんやろうね。前におった人と同じ格好…、ああすれば、僕もアキラくんもあの人がおったときみたいに寄ってくると思ったんやろうね…」

 海が光ったような気がした。思わず瞼を閉じる。それほど長い時間ではないはずだった。意識が途切れそうになりながら目を開けると、水平線が紫に染まっていた。見上げた空に微かに見えていた星も次第に消えていく。揺らめいている海面が割ったガラスを散りばめたかのように白く輝いていた。

「ほら見てみ…、一瞬で切り替わったやろ。そしたらね、夜が一日の終わりになんてならないし、朝が一日の始まりにもならないから、お仕舞いなんてないよね、僕らには」

 僕は空を見上げながらヒロシの声を聞いていた。夜のことなんかもう忘れていた。振り返るとキュウがいて、その辺りの木陰でジョイントを回し出すんだろうと思った。

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