解決の糸口
boys day前日の昼休み、ガブリエラとトロイを除いた私達は体育館に集まっていた。
「どうするんだよ、ジェイソン」
チャドがジェイソンの背中をバシッと叩いた。
…その時、割と良い音がして皆んなが笑いそうになったのは秘密。
「んー…どうするも何も、トロイが自覚して謝らない限りはどうしようもないよ」
ジェイソンはポリポリと頭を掻きながら笑った。
「…難題過ぎないか、それ」
ジークが一気にげんなりした表情になった。
「難題っていうか…最早無理難題のレベルだと思うわ」
マーサが困った顔でジークの肩をポンと叩いた。
「…仕方ないよ、トロイは無自覚で周りを傷付けちゃうからね」
ジェイソンは呆れたような表情と物言いをして、一つため息をついた。
「どうすりゃいいんだよ!」
チャドが頭を掻き毟りながら叫んだ。
「…皆で、トロイに気付かせれば良い」
「…“約束”を破ることが、どういう事なのかを」
ジェイソンはそう言って笑った。
その笑顔に、皆んなが驚愕したのは言うまでもなく。
「ジェイソン…君って、一番怒らせたらいけないタイプだね」
ライアンは苦笑いしていた。
「で、どうやってトロイに教えてやるわけ?」
テイラーが腕を組みながらジェイソンに訪ねた。
「皆でトロイを避けて、ガブリエラの周りに居れば良い」
ジェイソンはこれまた笑顔でそう言った。
「…わかった、気乗りはしねーが…やるっきゃねぇもんなぁ…」
チャドはジェイソンの肩に腕を置きながらやる気の無い表情をしてみせた。
「疲れる仕事だわね、全く」
テイラーは軽く首を横に振りながらぼやいた。
「うっかり会話したりしないようにしなきゃな」
ジークは苦笑いしながら呟く。
「明日、頑張りましょ…」
マーサがジークとチャドの肩をポンと叩いた。
「…ジェイソン」
私はなぜかジェイソンの名を呼び、その表情を見つめていた。
「…大丈夫、きっと上手くいくさ」
皆で何かに挑戦する時、必ずトロイが皆に言う台詞。
私の肩を引き寄せながら、ジェイソンは皆を見渡してそう言った。
皆は笑ってジェイソンにハグしたりハイタッチしたりしていた。
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